愛してたのは自分自身だけで馬鹿だな

 相変わらずクリープハイプのトリビュートばかり聴いている。どの曲も素晴らしいカバーになっているんだけど、backnumberの「バンド」は最後を飾るにふさわしいものだった。クリープハイプの思いを代弁しつつ、自らのものとして昇華するアルバムにおいて、その苦労をいよりさんが感じて悩んで、創り上げたものだと思う。

 「誰かに頭を下げてまで 自分の価値を下げるなよ」

 「だけど愛してたのは自分自身だけで馬鹿だな」

 「だから愛されなくても当たり前だろくそだな」

 結局は自分のために何かをやるという意識。これは僕ら皆の根底にある気がする。誰かに対する時はそうでないかもしれない。周りの評判は気になるものだから。ただ本音は本当にどこまでも内向きの「自分」に対しての意識が強い。その意識(自意識)は僕らの邪魔をする。それは思っている以上に周りには分かるのかもしれない。

 誰かではなく自分を、こう思っていることが良いか悪いかは分からない。尾崎さんは、クリープハイプは、「バンド」は決して僕らを否定してはいない。メロディライン、サビの素晴らしさで好きになる人がいる。もちろん。僕もそうだ。でもクリープハイプの好きなところはそれだけじゃない紡がれて綴られた言葉。誰かに愛されたいと願い、結局自分自身を愛している自分を認めてほしいという矛盾。だから愛されなくても当たり前なんだ。そんな馬鹿でくそなのが僕たちだ。結局はくそな自分を好きでいたい。それも当たり前だろ、くそだな俺たちは。

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