変わるものと変わらないもの

 人間は変わっていくものです。世の中の変化に敏感で、かつ順応しないと生きていけないから。

 この前の授業で、アリジゴクを知っている生徒がどれくらいいるか聞いた(山田詠美さんの傑作「海の方の子」で出てきたから)。そしたら、4分の3くらいの生徒が手を挙げた。結構びっくりしたんです。田舎ならまだしも、東京や埼玉の子どもたちは知らないんだろうなって思ってたから。でも、意外とみんな小さい頃に公園とかで遊んでて、そこで見たんだと。

 僕の子供の頃は、外で走り回って虫やサンショウウオを捕獲して悦び、ピーピー草を鳴らす日々だった。今の子供たちはデジタルネイティブで、幼い頃からスマホを持っていて、世界と繋がる手段とか、バーチャル空間(主にゲーム)の世界に浸ることが容易だから、そっちばかりで自然に触れることはあんまりないんだろうなって思っていました。でも意外とそうじゃないみたい。僕の子供の頃と同じように、外で遊んで、自分以外の生物がいることをちゃんと把握している。

 生徒とはだいたい倍くらい年齢が離れている。僕の高校生の頃を思い出すとプロジェクターも設置されていなくて、デバイスも持っていなかった。時代は変わるし、それに伴って生活も変わる。便利な世の中だなあ。しかし、変わらないものもあるんですね。自然は都会の身近にある。公園も、団地も、林も、身の回りにはある。東京にだって。

 変わっていくものがあり、どんどん便利になっていく中で、原体験はあり続ける。その原体験は思った以上に変わっていない。いや、人間の本能みたいなもの?

 同じようなものに感動を覚える。それは「変わらない」。共有して前に進みましょう。

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