箱の中のジャック
誰も知らないことでも、誰かにとってはとても意味があるものがある。もちろん、それは曖昧で抽象的で、人によってはない人もいるし、全然ジャンルが違う。
僕にとってのそれは、「箱の中のジャック」ことJack in the Boxだった。直訳すると「びっくり箱」。東京学芸大学という東京の中でも外れの小金井市に位置する国公立大学で、勝手に盛り上がり、勝手に無くなっていったバンド。
ジャックは僕の親友たちが大学入学を機に結成したバンドです。もちろん、現実に売れていけるなんて思っていなかったけど、とにかく楽しくて、音楽を奏でて、新しいものを創っていた。音楽は好きだけど聴くのが専門だった僕に、生での演奏の本当の面白さを教えてくれたのがジャックだった。
ハマー(Gt/Vo)、たける(Gt)フジモン(Ba)、まさあき(Dr)、りょうちゃん(Ka)。今思い出しても、本当にあいつらはバカでアホで輝いていた。
大学生の遊び?暇つぶし?それでもいいんだよ。僕は、中学と高校では部活動っていう枠の中で全力を尽くしていた。でも、大学で家を出て、東京で一人暮らしを始めて、ある意味でめっちゃ自由だったんだ。実家を出て地方から出てきた僕らは、責任を負う代わりに自由を手にした。毎日、誰かんちに集まって、スマブラして、酒飲んで、煙草覚えて、だらだらといつまでも続くと思っていた日々を謳歌していた。今一番帰りたいと思うのはこの頃だもの。もちろん、親がいてからこそなんだけどさ。
かけがえのない日々って、人それぞれだと思う。過呼吸になるくらい全力を尽くしたミニバスも、変に気取ってた中学も、文武両道を実践しようと頑張った高校時代も全力を尽くしていた。けれども、それとは異なる異質な時間。責任を感じつつもそれから逃れて、自分で選んで過ごした時間はあの頃がピークだった。今はそうもいかなくて、社会人としての色々な責任に追われている。いいおっさんになってしまいました。
コピーから始まって、オリジナル作って、ライブやってさ。打ち上げにも行って。上手くいくことばっかりじゃなかった。でも、身近な仲間がこんなにも出来るんだなって思うと心から嬉しくって、勝手に宣伝してた。
思い出したのは、大学4年の最後。ラストライブをワンマンでやろうって言いだして、無理に決まってんじゃんってなったけど、それでもチケットを自分らで作って手売りした。当日、沢山の観客が集まってくれた。
あいつらは確かにあの場で唄っていた。それだけで今も救われる。
Jack in the Box「筋肉質なシンデレラ」
https://youtu.be/uLM7vUHxgO4
筋肉質なシンデレラ
作詞・作曲 Ryo Hamanaka
世界は丸く 丸く回っていく 僕らの個性という過労を奪って
地球は丸い それでも丸い 僕らという個性を乗せたところで
不条理なほどに整ったこの世に 正義なんか求めたところで
くだらないと生返事して帰ってこない そんな明日ならいらないよ
今日よ終わらないでくれ 明日はきっと泣いちゃうから
今日がすばらしかったと 明日は誰か伝えておくれ
容易なことに向き合うためにさあ 僕らは仲間とか友達を
作るんだけれどそんなもんじゃない ほんとの友達てそんなもんじゃないよ
君がいるから俺がいるんだろ 俺がいるから君がいる
君のおかげなんだと 笑顔で言えるかな 今日はさよならの代わりにありがとうを伝えるよ
今日が終わらなかったら 明日も笑っていられるかな
今日よ素晴らしきこの日々よ 明日も僕を照らしてくれ
君がいるから 僕がいるのもさ もう二度と言わないからね
だから今日だけだよ だから今日だけはさ
この世に生まれた意味が分からなくても一緒に唄おうよ
今日が終わらないでくれ 明日はきっと泣いちゃうから
今日よ素晴らしき日々 明日も僕ら照らしてくれ
君よ終わらないでくれ どこに行っても変わらないで
僕は唄ってるから 君のこと想って唄ってる