経験は思考から生まれ、思考は行動から生まれるという話
「ザ・ファブル」という漫画をご存じだろうか。
南勝久先生の超名作であり、実写映画にもなったので内容詳細については言及しないが、
めちゃくちゃ面白い漫画なので広くおすすめしたい。
タイトルのフレーズは、ザ・ファブルの中で登場するのだが、ベンジャミン・ディズレーリというイギリスの元首相の200年以上前の言葉らしい。
心に深く残っていて私も好んで使用している。
文章自体はシンプルなものであるが、コルブの経験学習モデルとの比較という意味でも非常に奥深いものがある。
学習に影響を与える要素=経験
成人における、学習に影響を与えた要素のうち、70%がその人の「仕事上の経験」によるものという公的調査結果が出ており、20%が「他者の観察やアドバイス」、残りの10%(!)が「研修・書籍」とのこと。
仕事を通じて学習するということは、成長することと同義である。
人が成長を実感すると、そこにやりがいが生まれる。
多くの企業が社員の育成を目的として様々な研修を実施しているが、10%しか効かないことは驚きだが、私自身の記憶としても、研修を通じて成長できた実感はおろか過去にどのような研修を受けたかの記憶も朧気である。
それよりも、組織の命運を分ける大きな意思決定をした経験・経営者へ直接プレゼンした経験・新規事業を推進したゼロイチ経験など、ハードシングスと呼べる修羅場経験こそが自身を成長させてくれたと確信している。
よって、私も経験学習を信じている人間だ。(研修が無駄とまでは思わないが)
さて、タイトルのフレーズに戻ろう。
経験は思考から生まれ、思考は行動から生まれる。
順番を整理すると、
【Step1】行動する・・・まずアクションを起こす
【Step2】思考する・・・行動した結果を振り返り・整理し・自分なりの仮説や真実を掴む
【Step3】経験になる・・・具体的な知識・技能として本人に定着する
対して、コルブの経験学習サイクルは、
【Step1】経験:具体的な経験をする
【Step2】内省:行動の振り返り・フィードバック
【Step3】教訓:経験を多面的にとらえ教訓にする
【Step4】実践:行動を修正し、挑戦する
似ているようで、順番が逆である。
でも、言いたいことは同じような気もする。
私の解釈だと、両者における「経験」の定義が違うようだ。
コルブverの「経験」は、ザ・ファブルverのStep1「行動」とStep2「思考」の間に入りそう。
逆に、ザ・ファブルverの「経験」はコルブverの「教訓」と同義のように思う。
経験という言葉の定義を調べてみると、
経験
実際に見たり、聞いたり、行ったりすること。また、それによって得られた知識や技能など。
ファブルの方が後者で、コルブの方は前者寄り。コルブの方は「体験」に近い味わいがする。
どちらが正解という訳でもないのだが、私としては行動からサイクルが始まるファブルverの方が好み。
また、行動から思考が生まれるという流れも実にしっくりとくる。
仕事をしていてよくありがちなのだが、思考を伴わない行動をしている人ってめちゃくちゃ多いと感じている。
思考を伴わない行動のことを「作業」と呼び、作業ベースの行動を繰り返していても何の成長にもつながらないって話を、マネジャーになってからもう何年もの間、その時その時のメンバーに繰り返し伝えてきた実体験があるのだ。
今の時代、頭の中で考えている間に刻一刻と環境は変化しているし、正解を導き出すことも困難である。
よって、行動しながら思考すること、そして経験することで行動変容につなげること。
この繰り返しこそが勝ち筋につながる数少ないアプローチだと感じるのだ。
ファブルさん(というより200年前のベンジャミンさん)の言葉に私が共感していて、よく使わせていただいてますよってお話でした。
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