【小説】終末の明けのファンタジー 1話東京育ちのエルフ
今は絶滅したと言われてる人間族、そんな彼等が大地を支配していた時代、昔も昔、大昔。
そぅ、神代の時代から伝わっている文献では、ここ東京都 新宿区は不夜城新宿と呼ばれ、世界有数の近未来都市だったらしい、きっとマナの代わりに使われていたと言う、魔法の電力を使って朝も夜も無く人間族が集まって、毎日楽しく酒盛りをして居たのだろう、と新宿区の森、御苑森林に住むダークエルフの哲学家が教えてくれた、それが本当なら羨ましい限りだ
そんな人間族の繁栄も今は昔、当時モンスターと呼ばれる外敵が存在しない、名実ともに最強種族だった人間族は、混乱の呪いにでも掛けられたのか、はたまた狂戦士化のポーションでも飲みすぎたのか
同じ種族で同士で殺し合うとか、今を活きる私達からしたら正気を疑う暴挙を繰り返して、それにしたって不思議な事に、この大地から人っ子一人残さずに消えてしまったらしい、ちなみにこの情報は、こ歴史に名前を刻んだ英雄級の冒険者
伝説のハイエルフで大魔法使いラシューカ様と、リザード族の戦士、シラヴァ様、そしてドワーフ族のダリール様と、有翼族のゼヴァース様が
古の大迷宮[国立図書館]を攻略した際に手に入れた、写真と呼ばれる、風景を紙に封じ込めた、そんな高度な魔法を使用して作られた、物凄く貴重な書物から入手した情報らしい、その他にも
動画とか音声って名前の、現代では存在しない遺失級の魔法を使って、太陽のマナを電力に変換して、誰でも魔法を再生出来る準備まで備えて、この地に産まれて来るで有ろう私達、多種族時代を生きる存在を、ライトノベルって古文書で予言までして、自分達の技術と情報を残してくれたらしい
でも、そこまで配慮が出来て、優しい種族が、どうして同種族で延々と殺し合って、誰一人生き残らなかったのか、私は不思議で堪らない
私の名前はクラフィ
神代の時代に栄華を極めた不夜城から
ものの見事に、砂埃と鉄の匂いがする冒険者の街に生まれ変わってしまった街
冒険者の街 新宿で生まれ育った生粋の冒険者
そんな私が砂トカゲの串焼を片手に、朝早くから歌舞伎町を歩いてるのは、指名依頼の連絡を受けて、コマ劇冒険者ギルドに向かっているからなのだ
「チワーっす、ギルマスのオッサンに呼ばれて、朝も早くからクラフィさんがやってきましたよー」
こんな早朝から呼び出したギルマスの悪態をつきながらギルドの門を潜ると、ドワーフの癖に怒った鬼人族のみたいな顔をしたギルマスと、普段通り、にこにこ顔の受付嬢ハティがこちらを見ていた
「なーにが朝も早くだ!オレは7時半にはギルドに来いと、連絡したはずだぞ!いまは何時だ?もう12時じゃないか!オマエは時計も満足に見れないのかクラフィ!」
どうやらギルマスはお怒りらしい、時計とは人間族が残した技術の中でも、数少ない再現に成功した魔道具で、それを使って時の進みを測る物なのだが、鍛冶職人を種族の本能的な生業とするドワーフ族は、時と言う概念の再現に成功した時代から、技術革命が起こったとして、時計塔を各街に造りまくり、まるで宗教さながらに信仰している
正直な話し、自由奔放が心情な、森の民で有るエルフ族としては、迷惑この上ない宗教だと言わざるを得ない。
「そんなの知らないわよー、森の民で有るエルフ族にとっては、起きた直後から、昼ご飯を食べるまでが早朝なのよ、そして私は朝食の砂トカゲの串焼を食べながらギルドに来た、これは私が早朝からギルドに来たって証拠なの、まったく、時計時計って、頭の中が時間に洗脳されちゃってるのは、ドワーフ族の悪い所よ? 」
開幕の罵倒で頭にきたので、言い返してやったら、今にも飛び掛からん勢いで私を睨みつけてきやがった、ドワーフ族は会いも変わらず煽り体制が無さ過ぎる。
「まぁまぁ、ギルマスもクラフィさんも、喧嘩はそこまでにして、そろそろ本代に入りませんか? お二人が入り口で喧嘩なんてしていたら、他の冒険者さん達のご迷惑にもなりますので、そろそろ奥の相談室にでも移動しましょう。」
そう宥めながら、相談室に向かって歩き出したハティの背中を追いながら、相談室に到着する寸前まで、私とギルマスはメンチを切り合っていた
そして、その数刻後
「はぁぁぁー?私が何で、そんな事しなきゃ、ならないのよーー!」
想像もして無かった、冗談みたいなクエストを強制され、絶叫する私と
先程の仕返しとばかりに煽りながら大爆笑する糞ギルマスの笑い声が
コマ劇冒険者ギルドに木霊するのだった