うだるような暑い日に、高校生の夏休みみたいな過ごし方をした話
自分以外、誰にも需要のない話。
いつも、丹沢へ向かうロマンスカーの車窓から見えるこの景色が気になっていた。遮るものがなにもなく地平まで広がる青々とした田んぼと、その先に見える湘南の山。
このポイントは伊勢原と鶴巻温泉の中間あたりで、奥に見える山は方角的におそらく湘南平とか高麗山ぽい。
この景色いいなあ、好きだなあといつもぼんやり思っていたのだが、ある日突然、車窓から一瞬眺めるだけでなく、あそこに降り立って自分もあの景色の一部になってみたい、ついでにあの奥の山までひたすら歩いてみたいと思い立ってしまった。
調べたら10kmもなく、あれ?意外と歩けるじゃん、つーか普段の登山の方が歩いてる。しかも平地だし、余裕だろ。行こう。となり、なぞに突然実際に行った。まるで高校生の夏休みみたいな意味不明な好奇心と行動、この年になっても割とあるもんだなと自分に驚く。
鶴巻温泉で下車し、まずは「あのスポット」を目指す。
このあたりだ。
これこれ!この景色!青と緑のコントラストが最高!あぜ道だったら入りづらいかな?と危惧していたのだが、川沿いの散歩道みたいになっていてすごく歩きやすかった。
ところどころにベンチもある。こんなん最高やないかい。春か秋だったらしばらく寝転んで日向ぼっこしたいところだ。
紫陽花が綺麗だ。この道は「鶴巻あじさい散歩道」という名がついているらしい。むちゃくちゃいい散歩道!拡散しよう。
夏!!て感じの空と影。木陰が涼しそうなのもたまらないし、実際涼しい。
とかなんとか言ってたら突然の行き止まり。この先は川の合流地点となっていて進めない。どうにか渡ろうと思ったのだが川が広く、無理ぽい。
渋々引き返して渡れるスポットを探す。後で思ったのだが、川は浅かったので靴を脱いで渡ればよかった。10代の僕なら間違いなくそうしていた。ここが25年の年月の残酷なところだ。大人になった僕は、無理をせずに引き返すことを覚えてしまったのだった。
ここなら渡れそうだ。乾いている石にジャンプして取り付き、またひたすら南へ。
名もなき道だがこのスポットも最高じゃないですか?「希望の轍」って感じがする。とてもじゃないけど新宿から1時間で来れる神奈川のわりと中心部だとは思えない開放感と立体感だ。
とかなんとか言ってるうちにだいぶ湘南の山が近づいてきた気がする!
振り返ると丹沢。スタート地の鶴巻温泉もかなり遠くなった。
ここで田んぼの散歩は終了。ここからひたすら一般道を歩く。
で、ふと通りがかったこの街並み、めちゃくちゃ可愛くないですか?
色とりどりの家が規則正しく丘にならんでいる。なんかヨーロッパの田舎町みたいだ。めちゃくちゃ心惹かれた。あの中も今度歩いてみたい。
このあたり。地名はわからない。また散歩しにこよう。今度はこの街並を目的に。
とかなんとか言ってるうちに、もう湘南平が間近に!やはり意外と近い。
鶴巻温泉から見えてた山はまさにあそこだ!なんか感動するな。
しばらく林道を登ると登山道に出くわす。
この扉、山ではお馴染みの鳥獣対策のための扉なのだが、山に登ったことない人はここでビビって引き返すだろうな。しっかりと施錠されててかなり開けづらかったし写真じゃわかりづらいけど夏の昼間なのにめちゃくちゃ暗かったし。山を知らなかったら普通に怖い。
意外とちゃんと登山道で草。油断してたのでめちゃくちゃバテる。ここまで炎天下の中10km歩いてるためか、かなりキツい!
初心者が多いからだろう。普通の山よりも休暇スポットがたくさん設置されている。助かります。とはいえ誰も登山道にはいなかったが。
着いたー!!湘南平!!!海だー!!!山から海へ徒歩達成!!
木陰で一休みしたら展望台へ。
360°の大パノラマ。これは絶景だ。空気が澄んだ冬にも来てみたいと思った。
そして来し方丹沢側。あの田んぼの向こうから歩いてきたと思うと感動する。
ちょうどこの辺りがあの「かわいい街並」だ。今度はあそこに!逆に、大磯から北上してあの街並を目指し、ゴールを鶴巻温泉の弘法の里湯にすれば最高かもしれん。