2人のローマ教皇

『2人のローマ教皇』懺悔し合う老練の聖職者、その友情 Netflix配信中・公開中

新年の始まりの1本はこちら。今年もよろしくお願いいたします。

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原題:The Two Popes ★★★★☆4.5

マドンナが出演した『エビータ』(’96)でアルゼンチンのペロン大統領を演じていたなぁと観ながら思い出したジョナサン・プライスが、昨年11月に来日もした現ローマ法王・フランシスコ=ホルヘ・マリオ・ベルゴリオに

そしてアンソニー・ホプキンスが、ドイツ出身の前法王・ベネディクト16世=ヨーゼフ・アロイス・ラッツィンガーを演じるという、まさに2大ベテランの共演は垂涎。

お互いが告解し、懺悔し、赦し合う姿もあり、

人は誰でも、たとえ教皇であっても悔い改めることができる、変わることができるというメッセージが根幹にある友情物語となっています。


実際の出来事を元に、『博士と彼女のセオリー』『ウィンストン・チャーチル』『ボヘミアン・ラプソディ』などのアンソニー・マクカーテンが脚本を手掛け、『シティ・オブ・ゴッド』『ナイロビの蜂』など個人的にも信頼度の高いフェルナンド・メイレレスが監督。


次の教皇を決めるコンクラーベが、「ダンシング・クイーン」が流れる中で始まるとは思いもよりませんでした。さらに「ビートルズ」もアビー・ロードも出てきますし、アルゼンチンタンゴも踊ります。

バチカンは、保守から進歩へ。

『スポットライト 世紀のスクープ』で白日の下にさらされた性的虐待についてももちろん触れられながら、相反する2人の教皇交代劇の影にあった一個人としての友情を、フィクションも交えながら(そりゃそうだ)描きます。

なんと存命中の教皇が自ら退くのは700年ぶりだったとか。

また、カトリック教会の未来のために、聖ベネディクト16世が彼こそはと見込んだベルゴリオにも、アルゼンチンの歴史の暗部に関わる“秘密”がありました。

好敵手ともいえる立場だった2人。聖職者としてではない、ひとりの人間としての対話の中から共感や尊敬が生まれ、友情が育っていく様は荘厳な映像美を背景にして際立ちます。

とても微笑ましく見たあのシーンもフィクションだったのか…とは思いましたが、本作のラストを飾るにふさわしいシーンでした。


「ゲーム・オブ・スローンズ」ファンにとってはシーズン5、シーズン6に登場し、あのサーセイやマージョリーを黙らせた狂信的な七神正教のリーダー、ハイ・スパロウのイメージが強いジョナサン・プライスですが、
(教皇として)先進的な考えの持ち主で、人格者といってもいいだろう聖フランシスコを好演、これがお見事。そっくり!

映画では『天才作家の妻 40年目の真実』のチャラくて、だらしのない“天才作家”役も記憶に新しいところ。アダム・ドライバー共演で自らをドン・キホーテと思い込む男を演じている『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』もまもなく公開(以下、自粛)




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