技術力の高さを発揮して生き残っていけるのか?:マツダの第3四半期分析
マツダの第3四半期分析をします。
マツダ、といえば、なんといってもロータリ―エンジンのRX-7!
とか思ってしまうのは40代の証拠ですかね・・・
最も生産は2012年に中止していますけどね。
なお、マツダは、トヨタの資本提携を結んでいます。
自動車メーカーにとって、部品の調達だけでなく、研究開発には多額の費用が掛かります。そうしなかで、提携を結ぶことには両社にとって大きなメリットがあります。
ひょっとすると最終的に、マツダもトヨタグループの一員に・・・なったりするかもしれませんが、日本の自動車メーカーの統合は欧州とは異なり、資本提携という形が多く、子会社化した事例は日産による三菱自動車などはあるものの、依然、買収という形は主流ではありませんね。
ともあれ、そんなマツダの業績です。
緊急事態宣言による影響もあり、上期は前年度と比べて254千台と出荷台数が減少しています。ただ、第3四半期だけをみると、プラス4千台と増えていることが分かります。第3四半期だけでみると、207億円の営業利益で、当期純利益も148億円と持ち直しています。ただし、上期のマイナスが大きいため、第3四半期の通期では782億円の赤字です。
営業利益変動要因を見てみるとやはり、操業停止による生産ロスが大きかったようです。一方で、生産ロスは特別損失に振り替えられているため、ここでは要因が消えています(205億円が振り返られています)。コストコントロールを行い610億円ほどの固定費削減を行っています。結果として営業損失は320億円に留まる形になっています。
特別損失に振り替えられているだけなので、当期純損失782億円が計上されるので、損失額が大きいことには変わりません。
業績予想については、依然、当期純損失500億円は計上される見込みであるものの、前回予想の900億円からの上方修正になっています。売上高については微増の上方修正(1.8%増)なので、これが損失の圧縮要因というわけではなく、コスト削減効果によるところが大きいようです。
これは日産とほぼ同じパターンですね。
日産との一番の違いは財務状況でしょう。こちらを見ても分かるように有利子負債比率も100%以下で、今のところ財務状況が急速に悪化!ということではありません。長期借入金による資金調達(2,834億円)を行っていることも分かりますが、すぐにクリティカルに影響するような規模ではありません。
一方でやや心配なのはこちらかもしれません。投資活動によるキャッシュフローが前年と比べて半分ぐらいになっています。これは有形固定資産による支出等の将来投資部分をカットしたためだと思われますが、将来投資の部分を削ってしまって、今後の売上収益の伸びがどこまで期待できるのか、という点はあります。
ただ、この辺りはトヨタとの関係を深めていって・・・という思惑もあるのかもしれません。トヨタとの資本提携は新工場設立や共同での部品供給などはあるかもしれませんが、一番大きいのはEV(電気自動車、自動運転車)に向けた研究開発でしょう。
ただ、トヨタにおんぶにだっこというわけにはいかないでしょうし、会社としてお互いに独立している関係です。コロナ禍では、トヨタ、日産、ホンダ、マツダの4社でいると、明暗はくっきり分かれています。
トヨタ、ホンダは利益を確保している一方で、日産、マツダは赤字です。
そして投資を怠っていないのはトヨタ、ホンダです。
この差がどう響くのか・・・というところですね。
今日、3月4日にホンダは自動運転レベル3対応モデルを売り出しました。これはハイブリット形式のようですが、最終的にはこのモデルで電気自動車を出してくるつもりでしょう。
マツダは2020年11月の中期計画の見直しで電動化マルチソリューションを掲げています。
段階的に電動化技術を開発し、2030年までに生産する全てのクルマを電動化すると宣言し、合わせて電動化技術の導入計画についても公表してきたことを再度説明。 さらに、2020年11月の中期経営計画見直しで解説した、電動化マルチソリューションの進捗状況についても、2020年にマイルドハイブリッドとEVを導入し、2022年にはラージ商品群向けのマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッド、ロータリーエンジンを活用したマルチ電動化技術を導入することを説明したが、これらが2018年の発表時からほぼ計画通りに進んでいることを改めて紹介した。
ロータリーエンジンの開発もそうですが、技術力の高さには定評があるのがマツダ、です。その技術力の高さで今後、巻き返していけるのか、というところですね。