【ゲームレビュー】The Plucky Squire(ジョットと不思議なカラクリ絵本)
見習い剣士のジョットが仲間と共に、悪役ハムグランプをやっつける絵本のシリーズは大人気。けれど、いつもやられてしまうハムグランプは、どうにかこの状況を打開できないかと考えていた。ふとしたきっかけから、絵本の外へ抜け出せるメタマジックの魔法を使えるようになったハムグランプ。それを追いかけて絵本の外へ飛び出したジョットは、そこが絵本の持ち主の少年サムの部屋だと気が付く。ハムグランプは絵本の外から機械など、絵本の世界に不釣り合いな物を持ち込んで、物語の改変を目論む。絵本の世界が書き換えられてしまうと、ジョットの活躍を楽しみにしていた少年たちの夢や希望が失われてしまう。はたしてジョットはハムグランプの企みを阻止して、再び絵本の世界へ戻る事が出来るのか!?
メタ視点を取り入れた二次元と三次元の行き来
MOTHER2のような可愛らしいグラフィックが、見開きのページとして展開されているのが特徴的な本作。絵本の中の操作感は、スーパーファミコンのゼルダの伝説のような感じで気持ちいい。難易度はそれほど高くないけれど、ボス戦になるとパンチアウトのようなボクシング対決になったり、音ゲーになったり、横シューティングになったり、パズルボブルのよう(というかそのまんま)なパズルになったりと多彩。
随所にある緑色の渦から絵本の外へ飛び出すと、そこは見下ろし型の3Dアクションへと変貌する。あくまで子供部屋の中だけれど、置いてあるマグカップへ入ったり、付箋やら別の本やらを行き来する、その発想の自由さにワクワクする。
また、物語は地の文とナレーションで進んでいくのだけれど、途中で地の文を書き換えることで先へ進むシーンも出てくる。
物語の途中で立ち寄る、アーティストの集まった街アーティアがパロディに満ち溢れていて、作っている方も楽しかったんだろうなあってのが分かる。下に2枚のスクリーンショットを貼ったけれど、その中に何人もアーティストが隠れている。
登場人物たちは早くから、自分たちが絵本の登場人物であると認識しているようなメタ発言を繰り返すのだけれど、中盤で、プレイヤーへ向かって語りかけてくるシーンがあってビックリした。
バグの多いのが残念だ
本作は10章まであるのだけれど、バグの多く発生する章が後半にある。自分は楽しくプレイしていたのだけれど、9章でおそらく意図されていない動きをしたせいで(必要ないのに絵本の外で虫の敵を倒した後、手に持ったまま進めていた)、その後のイベントで引っかかり、自動セーブされた結果詰んでしまった。別のブログでも、自分とは別のバグに遭って進められなくなってやり直したという人がいた。クリア後に取り逃がした収集物を集めたくても章ごとに最初からしか出来ないので、それもストレスだった。
良い作品であることは間違いない
とはいえ、人におすすめできる名作であることには疑いはないと思う。今年のゲーム・オブ・ザ・イヤー2024で、Best Debut Indie GameとBest Family Gameの2部門でノミネートされたことも頷ける。クリアも10時間ほどで出来るんじゃないかな。