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ほどほどに、ができない


先日「ゆるゆる、あまあま」という記事を書いた。
なんと、かなり読まれたらしい。
コメントもいただいた。
「ホッとしました」と。


ありがとうございます

確かに、5年前の私が見れば今の私はゆるゆる、あまあまだ。
何よりスケジュール帳に空きが多い。そして、それを埋めようともしてない。埋めたいのは、旅の予定だけ。それ以外は、できれば何も予定を入れたくない。

それなのに、「ほどほどに」が苦手なのだ。
一見矛盾しているが、私にとっては不思議でもなんでもない。
「ほどほどに」ができないのは、自分が大好きなことについてだけ、だ。

思い出せば子供の頃からそうだった。
子供の頃、「ほどほどに」していたのは、勉強で、「ほどほどにできなかった」のは、遊びだった。

泥団子作り。
とにかく綺麗な形の、ツヤツヤした泥団子を作るのに、熱中した。
周囲で同じように作っている子の「作品」も見ながら、公園にある水道も使い、砂場の砂を使い、サラサラの砂も使い、出来上がった上出来の泥団子は、見た目はまるで「おはぎ」のようだった。
それを完成させるまでは、日が暗くなっても、友達が帰って行っても、同じように熱中している子供達と一緒に作り続けた。
社宅団地のベランダから母が呼ぶ声がするのに、ようやく気づいて、泥団子を砂場の淵にそっと置いて、慌てて帰ると、鍵がかかっていて入れない。
チャイムを鳴らそうが、ドアを叩こうが開かない。
「お母さん、お母さん!開けて」と言っても、「時間を守らん人は、帰ってこんでいい!」と怒鳴られ、泣いていると、父が帰宅し「どうしたんか」と聞く。
事情を話し、「ほんならちゃんとお母さんに謝れよ」と言われ、泣きじゃくりながらお父さんと一緒に家に入る。そんなことを繰り返していた。

もう一つ熱中していたのは、自分たちが考えた「遊び」だ。
公園のフェンスの上に登る。反対側の端とこっちの端でチームに分かれ、「よーい、どん」で走り始る。出会ったところでじゃんけんをし、負けた者は下に降りる。すると、負けたチームの次の人が、フェンスの端から走り始め、その間も反対側のじゃんけんに勝った人はフェンスの上を走り続ける。そして出会ったところでじゃんけんをし、勝った人はそのまま走り続け、負けたら次の人に交代する。やがて相手の「陣地」、すなわち自分たちのチームとは反対側の端にたどり着いたら、そのチームの勝ち。1点が入る。ただ、その後また端から次の人たちが、「よーい、どん」で走り始める。

念の為に言うと、私たちが走っていたフェンスの幅は、およそ5センチ程度だっただろう。さらにフェンスは、「金網」なので、走っているとグラグラ揺れる。それをうまくバランスをとりながら、誰も途中で落ちることもなく、とにかく5センチの金網の上を走る。
あの遊びができたのは、全員が素晴らしい体幹と運動神経を持っていたからで、おそらく子供ならではだ、と、今思えば神業にしか思えない、
この、大人が見れば危険極まりなく、今なら即効誰かに止められるであろう遊びを、自分たちで考え、ルールを決め、誰も怪我をせず毎日毎日飽きもせず遊んでいた。
あの時の友達とは、誰一人今も付き合っている人はいないのに。

社宅と公園があった場所に、1年ほど前に行ってみたが、社宅とその周辺の空き地はすべて数棟のマンションに変わり、同じく周囲にあった遊び場であった、田んぼは全てなくなっていた。
その裏にあった国立大学の寮だけは残っていて、「この場所で確かに、日が暮れるまで、母に怒られるまで遊んでたな」と言う思い出に浸っていた。

そして今。

先日、久しぶりに「小説公募リスト」を作成したら、年内に5本、提出できる応募先を見つけると、途端に火がついたように書き始めた。
2000字以内のテーマあり、のものは、1日で書き上げ、2日目に推敲して提出した。
3日目の昨日は、8000字以内、テーマあり、の作品を描き始めた。昨日はある仕事で、半日が潰れたのだが、それでも頭の中は小説のことでいっぱいだ。思いついては、スマホのメモに書き留めておく。

そんな日々の中で、Xでフォローしているある作家さんが、最近書き上げた作品たちのタイトルをアップしているのを目にした。
ああ、売れっ子作家さんたちはこんなタイトルの小説を書いているんだ、と眺めていると、中には、タイトルから中身がある程度想像できるものがいくつかあった。
それらを見て、ピン、ときた。
「ああ、自分に足りないのはこれだ」
と。

詳しくは、いつか何かしらの賞をもらったらお伝えしようと思うが、要は「書きたいものを書く」のではなく、「読みたいものを書く」のだ。

誰が?
みんなが。

今まで私は「自分が読みたいものを書く」を中心にして書いてきた。
でも、まだ結果が出ていない作品たちばかりだが、今回は「みんなが読みたいもの」を書いてみようと思っている。

圧倒的にそちらの方が難しい。だけど、「ほどほどに」ができないので、多分「はまって」やるだろう。アルバイトをしていても、その移動中でもきっとそれに夢中になっているだろう。
今朝も起き抜けに幾つかのアイデイアが浮かんできた。
忘れないうちに、ベッドサイドに目覚まし代わりに置いているiPadのメモに書き留める。
そして、「ほどほど」ではなく、「熱中している」時が、とんでもなく楽しい。おそらく「アドレナリン」が出ているのだろうが、そんなことはどうでもいい。
熱中している時、今は小説を書いている時だが、脳内と心がうきうき、ワクワクしているのだ。
やめられるわけがない。こうなったら、誰も私を止められない。
止めるつもりもないけど。

さて、今日もあの続きを書いて、2作品目を完成させよう。
できれば、明後日までには提出したい。そして、他3作品の構成も再度考え直して、12月31日までの締切に、5作品全てを提出したい。

いつまで経っても「ほどほどに」ができない自分に、呆れながらも、今を楽しんでいる。

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Hiromi.U
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