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人生はミステリーツアー


先日私よりも若い人と話をしていたとき、「人生はミステリーツアーだね」という結論が出た。

ミステリーツアーとは、「行き先がわからない旅」という意味だ。
人は生まれた途端から、「行き先がわからない旅」をしていると、その若い人がいうのだ。

私のような昭和という、日本の高度成長期に青春時代を過ごした者は、「目標を持って生きる」ことや「これをやっておけば、将来は約束されている」という、ある意味「行き先がわかる」と思って生きてきた。実際に、どこの高校に行けば大体このくらいの大学に入れるとか、どこの大学に行けばこのあたりに就職できるなど、ほぼわかっていた時代だった。

その頃は、人生はミステリーツアーなんだとは決して思ったことはない。

それが一転するのは、バブルが崩壊し、低成長期時代が続き、やがてパンデミックが起きたからだ。誰もが先が見えないと感じるようになり、当然不安も増長する。今までの定番の生き方ができなくなったり、予想通りにはいかなくなった。

就職氷河期世代の人たちを話をすると、どれだけ面接を受けても全く就職が決まらなかったと言う。つまり「この大学に行っていればこのあたりに就職できる」という定説が崩れたのだ。

さらにパンデミックにより、職を失った人や、私のように収入が激減して、いつこのパンデミックが終わるのか、終わったらはたして元に戻るのだろうか、と、まさに行き先が見えない経験をした。

結局パンデミックが終わって、元通りになったのか、というと、リモートワークは減ってはいるがなくなっていないし、出張が減ったことにより航空会社のビジネス客は戻ってはこないという。

個人に目をやると、多くの人たちが、パンデミックによる強制停止が起きたことで、時間が生まれ、いやでも自分と向き合う時間ができ、人生の見直しを始めた愛ように思う。

かくいう私も、自分が本当に今の生き方に満足しているのか、を問いかけたとき「猛烈な自己嫌悪」に陥り、そこから抜け出そうとあらゆることを勉強したり、試してみた。

セミナーに参加し、本を読み、旅に出た。その結果、断捨離を始め、拠点を変え、バケットリスト(人生でどうしてもやりたいこと)のトップにあった世界一周の旅に出たのが、昨年のことだ。

さらに今年に入り、27年間続けたスクールを辞め、これもバケットリストにあった「作家になる」夢を追いかけ始め、小説を公募に出し続ける日々を送っている。初めての国への訪問を続いていて、「当たり前だと思っていた常識」を次々に壊しまくられている。

今は大きな目標はあれども、短期的な目標を持たず、ふと気になったことは次々にやってみるという、ある意味「その日暮らし」的なことを繰り返している。すると、さらに予測不能な、初めての経験をするように促されているような、でも突き詰めていけば自分の潜在意識のもとで望んでいたことが浮かび上がり、そこに向かっているような気がしている。

その「予測不能な人生」は、「目的地がわかっている生き方」をしていた私にとって、不安がとても大きい。しかし、これも私にとってはある意味「変化」であり、それによって違う世界へいくことになるに違いなく、本当はこの「予測不能」を楽しめればいいのだが、まだそこまでの境地には至っていない。

しかし、心の奥底では行き先がわかった旅よりも、「ミステリーツアーを楽しめる自分」になりたいと思っているらしいのだ。

壁を壊し、新しい自分に生まれ変わることは、口で言うほど簡単ではない。しかし、心の奥底で望んでいることは、何度消そうとしても何度でも湧き上がってくるし、それに逆らわず、素直にその道に進んでいけばいい、と頭でわかっていても、予測不能、初めての経験に対して不安がつきまとっていたが、先日この若い人が「人生はミステリーツアーでしかない」「私は思った通りの人生になったことがない」と言うのだが、最終的に自分が思ったような人生を歩いているのを見て、「これからの時代はミステリーツアーを楽しめる人になることが必要なんだ」と、ようやく心から思えるようになり、一つの決心をした。

自分と違う時代を生きてきた人の考えは、常識だと思っていたことを崩してくれるのに最適だ。若い人との話によって、また一つ壁を壊すことができたようで、来年が楽しみになってきた。

おまけ

ミステリーツアーといえば、あのビートルズの「Magical Mystery Tour」を思い出した。まさにあの歌詞の通りだ。
歌詞の和訳があったので、載せておきたい。


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Hiromi.U
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