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奇跡の出会い


もう何十年も前に出会った友達がいる。
大学入学式終了後、同じ学部の人たちを集めた「入学オリエンテーション」で、大学側が指定した座席に座った。
いわゆる、「あいうえお順」であり、学籍番号順だった。

英文学科は、8割が女子で私の両隣の人たちも女子だった。私の左側には、ロングヘアでしっかりとメイクをし、ハイヒールを履いている、まるでOLのような、お姉さんって感じの人が座っていた。
私の右側には、癖毛のショートカットに、真っ白なすっぴんの、まだ幼い感じがする女の子が座っていた。私は、その真ん中に座ると、長机の上に置いてある資料を取り上げ見ていた。

当時は、個人情報云々、なんて誰も意識していない時代で、机の上には学籍番号とフルネームの名前まで書かれた紙が貼られていた。ふとそれを見て驚いだ。
同じ苗字だ。え、と思って、右側を見ると、同じ苗字だ。

え、3人も同じ苗字の人がいるんだ、と思った。内心驚いていると、「同じ名前なんですねー」と、OLさんのような綺麗な人がニコニコしながら言った。
「そう、びっくりしました。3人一緒ですよね」と、右側にいる女の子の方を見ると、「ですね。よろしくお願いします」と言った。「いえ、こちらこそ。誰も友達がいないので、よろしくお願いします」と両方の女性を見ながら言った。
「私も友達ここにはいないです。なんか、嬉しいですよね」
「いや、よかったです。あ、でも私一個上なんで」
「え、え、私も!」
「え、そうなんですか」
「そう、浪人したから。あなたも?」
「あ、いえ、浪人ではないけど、休学して留学したから一年遅れてて」
「あーそうなんですね。でもじゃあ、同じ年ってことですよね」
「はい」聞けば同じ年に生まれている。
「で、八月です」
「え、え、えー。私も八月。何日?」すでにタメ口になっているOLさん。
「21日です」
「え、え、えー、えー、びっくり。私20日だよ」
「えー!!苗字が同じで、誕生日が1日違い・・・すごい。運命みたい」
「ほんとだねー!!私もここまで同じ人って会ったことない」
「いや、私も」
「じゃあ、同じ歳で1日違いで、同じ苗字。下の名前で呼ぼうね。私は、(   )。」
「あ、私は(    )」右手にいる女の子を見る。
「私は、(     )」
こうして、たった10分で3人はあっという間にお互いの存在を覚え、刻み込んだ。この時の光景は、今でも脳裏に鮮明に焼き付いている。

あれから○十年。
(○の数字は、ご想像にお任せします)
左側のOLさんっぽい友達とは、その後も会える時に会っていて、彼女の結婚後の家にも泊まりに行かせてもらったこともある。お互いの子どもたちも一緒に遊んだ。子どもたちはそれぞれ自立し、私たちは再び自由な時間を手にしている。

そして、毎年1日違いの誕生日にLINEメッセージを送り合う。
離れた場所に住んでいる私たちは、会おうと思えば会えなくはないが、最後に会ったのはもう10年近く前だ。それでも一年に一度は必ずメッセージでお互いの近況を報告するし、それによって数少ない友達のありがたさが身にしみる。

今朝まですっかり忘れていたのに、ふと思い出し、先ほど彼女にメッセージを送ったところだ。
明日は彼女からメッセージが来るだろう。
お互いの年も同じ。毎年1日違いで年を取る、同年の友達。
あの日大学の大教室で出会った私たちは、数十年後も友達だ。
お互いに全く違う人生を歩いているが、そんなことは関係ない。出会った瞬間に、一生の友達を得た大学生活には、感謝しかない。

さて、今年の彼女からの返信はどんなものだろうか。楽しみにしていよう。


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Hiromi  U.
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