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人間観察


最近は、あまり人に会うことがないのだけど、だからこそたまに会ったり、メッセージでのやり取りの際に、その人が透けて見えるような気がしている。
これは、私の勝手な分析なので、当たっているのかはわからないが、私は楽しんで人間観察をさせてもらっている。

例えば、口を開けば人のことばかりを話している人は、自分にフォーカスしているのではなく、人の目が気になっていたり、人から賞賛されたいと思っている人なのだろう。
私自身は、人と話すときには、ほとんど他人の話をせず、自分自身について話をするのだけど、バスに乗っていても、カフェで隣に座った人たちも、自分の周りの人のことについて話している人が、本当に多い。大抵の場合は、悪口なのだけど。
それだけ、他人が気になっているという証拠のように思える。これは一般的に女性に多いが、最近は中年男性もこの傾向が強いので、人のことを気にしないと生きていけない社会になっているんだな、と感じる。

また、ただのメッセージのやり取りでも、見えることがある。ジョークが次々に出てくる人は、頭がいいな、と思うし、男性と女性はやはり違うな、と思ったこともある。

男性を見るときは、私が男性じゃないからこそ見えることがあるような気がする。

これも、私が女性だから自分と比較することでわかることだ。例えば、男性はおそらく幼い頃から「男の子だから」と言われて育ってきた人が多いのではないだろうか。男性性を意識しながら育っていくと、プライドが高くなる。プライドが高い人は、自尊心や自己肯定感が高く、だからこそ負けを認めなかったり、常に自分が優位に立っていたいと考える。これらに良い悪いはないが、そんな特徴がある。

女性の場合も、私自身も「女の子なんだから」と言われ育ってきた、ど真ん中の世代だ。それに反発しながら、今でも反発をしているが、世間が言う「女の子なんだから」の意味は十分にわかっている。女の子なんだから、と言われて育ってきた人たちは、「でしゃばらない」「控えめであれ」「人の役に立て」と言うことを、刷り込まれているように思う。
その結果、「依頼心が強い」「リーダーシップが取れない」「自己肯定感が低い」「自分の意見がない」などの特徴を身につけていることが多い気がする。自己肯定感が低いと、プライドも低い。だから、男性のプライドの高さが目立つのだ。「なんで、そんなにプライドが高いのだ」と、疑問に思う。

つまり人は、自分にないものを持っている人のことは、よく気が付く。自分にリーダーシップがないと、リーダーシップがある人のことは、すぐにわかる。ただ、生まれながらにリーダーシップを持っている人は、その自分の特徴に気づかない。
すなわち観察力とは、気づく力であり、それは自分との比較によって可能になることが多いのだ。

私は今まで30年以上、若い人を育てる立場で、その人の短所も長所も見つけてそれらをどうカバーし、活かすか、と言う、ある意味プロデユース的な仕事をしてきた。10年くらい経つと、会って5分でその人の特徴を掴んで、相手が聞きたいと思っているときは伝えてきたが、大抵「なんでわかるんですか」ととても驚かれた。
それはおそらく、客室乗務員の経験も加わり、職業柄身についたことだと思うが、もう一つは「人に興味がないけど、人間観察は好き」と言う、変わった趣味のおかげだったのかもしれない。
世の中には、本当にいろんな人がいて研究対象としては、本当に面白い。人と関わることはあまり好きではないのだけど、だからこそ冷静に観察し、分析することができるのかもしれない。私にとっては、一種の趣味のようなものだ。

その基本となっているのが、よく話を聞き、よく見ることだ。そして、自分と比較することで、自分との違いがわかり、分析ができる。やがて、いろんな人の分析データが頭の中に入っていて、いろんな人との比較をすることで、見えてくるものがある。私にとっては、本当に面白い趣味だ。

そういえば随分前に、教え子が言っていた一言を思い出す。
「人の言うことではなく、行動を見て判断する」
この教え子もなかなか「観察力」が鋭い人だったと感心していたが、自分の精神を守るためにも、小説などを書く際にも、人間観察はとても役に立っているし、気づけばいつの間にか人間観察と分析をしている自分にも驚いている。

世の中には、本当にいろんな人がいる。
その関わり方さえ気をつけていれば、こんなに面白い世界はない。テレビのチャンネルを変えるように、次から次にいろんな人と世界を見ることができるこの世の中は、おそらく死ぬまで飽きることはないだろう。
ただの、変人かもしれないけど。

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Hiromi  U.
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