世界一周の旅で出会った人たち#6「ノルウエー・オスロ」
オスロ、という地名を聞くと、空気と景色が綺麗な街がすぐに思い浮かぶ。
フィヨルドは今回見ていないが、空気が澄んでいるのが、歩いているだけでわかってくる街だった。
10月の最初だったので、まだそこまで寒くはなかったのが寒がりの私にとっては救いだ。
なぜオスロだったのか?
実は、高校時代アメリカへ10ヶ月間の留学をしていた時、同じくノルウエーから留学してきていた友人に会うためだ。
数年前にfacebookで彼女を見つけ、何十年ぶりにお互いの近況を知った。それ以来彼女に会いたいな、と思っていたのでこの旅で実現することにした。
しかし、彼女はとても責任ある仕事をしていて、且つ同僚の人が病気になってしまい、私が彼女が住む場所に行くしか会えないことが、数日前に分かった。
私が彼女の住む場所に行くには、1000キロほどを、なんらかの形でいかなければならない。
鉄道を乗り継ぎ行くとしたら、私はオスロ滞在をわずか2泊3日にしていたため、断念せざるを得なかった。
じゃあ、オスロでの滞在をどう過ごそうか。
ありがたいことに、ホテルは安くトリップドットコムで見つけることができていたし、そこはトラムの駅前で、鉄道のオスロ駅にも徒歩で行ける場所だった。
一階にある小さなカフェでお金を払って朝ごはんを食べたが、ここのカフェの居心地がとてもよくて、ランチも食べた。
その時、ここの男性スタッフをナンパする、アメリカ人らしき女性も見かけた。
いろんな出来事に遭遇することができるのが、旅の醍醐味だ。
1日目はノーベル賞の会場を見て、カフェの綺麗なお姉さんに癒され、(北欧は美男美女が多いのだろう)二日目は猿いて10分ほどの場所にある「オペラハウス」に向かった。
景色が美しすぎて、これが丸ごとこの国の宝だな、とつくづく思う。
寒すぎず、天気にも恵まれ、歩く足取りもスキップに近いくらいだった。
自由で、好きな国で、初めての都市にいることが嬉しくて嬉しくて仕方がなかった。
オペラハウス内には入ってないが、傍にあるスロープのようなものを上ると、そこからの景色が絶景だった。圧巻。。。
海に強すぎない太陽の光が降り注ぎ、水面を照らす。
空気はどこまでも澄んでいて、何度も深呼吸をしたくなる。
決して自然を邪魔しないように作られた船着場と、少しばかりのレストランやお店類。
この美しい景色をできる限り残そうと写真を撮る観光客たち。
今でも鮮明に思い出すことができる。
夢中で写真を次々に撮り終わり、さて帰ろうか、と思った時、一人のブロンド美人が声をかけてきた。
道を聞くはずがないが、決して怪しい感じでもない。
「私も夢中で写真を撮っていたら、あなたが写っていたんだけど」
と、写真を見せてくる。
え、まさかこの写真を買い取って、というのだろうか?
旅人の常で、人を疑うことが当たり前になってしまっている。
「もしかしたら、あなたが欲しいんじゃないか、と思って声をかけたの」
見ると、そこには私の横顔の写真があった。
「わあー、嬉しい。ありがとう!もらっていいの?」
と言った。
どうやら、お金を要求されるわけではないらしい。
「え、じゃあ、メール、facebookで、やってますか」
と聞くと、躊躇している。
そりゃそうだ。見ず知らずの、たまたま声をかけただけの人とそんなに親しくなるわけにはいかないだろう。
そこで、「あ、Air dropできますか」
と、相手のiPhoneを見て言うと、「できるわ」と言ったので、お互いに操作してあっという間に
私のiPhoneに彼女が撮ってくれた写真が入ってきた。
「本当にありがとう!!」「いいえ、よかったわ」と30代後半くらいの美女が言う。本当に疑ってごめんなさい、と心でつぶやく。
なんて優しいんだろう。
なんて素敵な人なんだろう。
「どこからきたんですか」
と、このまま別れるのが惜しくて聞いてみると、「デンマークから」
と言う。
「初めてですか」と聞くと、「そうなの。綺麗なところよね」と、同じ北欧でもやはりオスロの美しさには感動したらしい。私はまだデンマークには行ったことはないが。
「私は日本から来たの」というと、「そうだと思った」と言われた。
うん?どこからそう思ったんだろう、と疑問が湧いたが、そこまでは聞くことができなかった。
「もしよかったらお茶でも・・・」とまるでナンパのような言葉を思いついたが、なんとなく彼女は急いでいるような気がしたので、声をかけそびれてしまった。
でも、やっぱり声をかけて、せめてお礼にお茶でもご馳走できたらもっといろんな話ができたのに・・・と、自分の勇気のなさを反省した。
これで、この旅が始まってから何度目の後悔だろう。
これからは、もっと勇気を持って話しかけていこう、と固く自分に誓った。
「良い旅を!」
「あなたもね」
と挨拶をすると、彼女の美しい後ろ姿を見送った。
次回へ続く
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