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通訳アルバイトでの気づきと学び その1「商談はこうすればうまくいく」


先日通訳のアルバイトをしました。スタートアップ企業と、投資先を探している企業との商談の場での通訳です。
時間は25分間。
合計5回の商談に立ちあいましたが、「あれ?」と思ったことがあったので、まとめておこうと思い、書いています。

スタートアップ企業の方々は、アジアの国々の方たちで、投資先を探す企業は日本の名前が知れた企業です。
アジアの方々ですでに会社を立ち上げ、順調にクライアントを増やしている会社で、お話を聞けば聞くほど、「すごいな」と思う技術やサービスばかりでした。
皆さんパソコンを駆使し、資料をパワーポイントに詰め込み、見やすく工夫をしています。
日本語にできる部分は日本語にしていましたが、ほとんどは英語で書かれてあり、だからこそ図表を多く使っていました。
彼らがそのパワーポイントを使って会社の説明をしていくのを、逐次通訳をしていきます。
通訳といってもただのアルバイトで、数日前に会社のことを調べている程度ですから、専門用語などは彼らに直接聞きながら、訳していきました。
(本物の通訳の方ならば、かなり学び、知識を入れて通訳に臨むはずです)

スタートアップ企業の方々は、ほぼ全員その会社の社長、創立者だったのも驚きでした。
しかし、社長が一番この会社について知っているし、説明もできるので、当然のことかも知れません。

頭が切れ、人間的にも素晴らしい人たちがたくさんいらっしゃいました。
私が感じた彼らの共通点は、集中力と一点突破力。
これらがなければ、スタートアップなんてできないし、ビジネスを続けていくこともできないだろうな、と感心しながら話を聞いていました。通訳であることを忘れ、思わず話に聞き入ったこともありました。

ただ、5人全員の方々に思わずアドバイスしたくなるようなことに気づいていました。
それは、「投資家の人たちに何をして欲しいのか、を具体的にまとめていないこと」でした。

スタートアップの会社の方々は、自分の会社の説明、立ち上げの経緯などについてはしっかりとお話をされるのですが、「何を投資して欲しいのか」については、全員が明確になっていませんでした。

一口に投資といっても、お金だけではありません。

人、場所の提供、ビジネスの提携など、も含まれます。投資家の人たちは「我が社ができることは何か」を知りたいと思っていますし、もっと言うならば「win-win」の関係にどうしたらなれるのか、を具体的にわかりやすく教えて欲しい、と思っています。

それがわかったのは、私に少しだけでもビジネス経験があり、営業も自ら行ってきたからなのかも知れないな、と気づいていました。

しかし、そこは通訳。お互いの言っていることを正確に訳していくことが私の仕事。
ビジネス上の意見を言えるわけではありません。

投資家の方々の中には、「全然違う業界だけど、僕たちは何ができるの?」と直接聞いてくださった人たちもいて、(さすが、優秀です)それを訳すことができた時は「それだよ、それ」と思いながら訳していました。

海外の方々は、もっとガツガツと「あれが欲しい。これをして欲しい」と要求するのだと思っていましたが、聞かれたら言うけど、自分からは要求を言わない傾向にありました。
日本という国を熟知していて、あまりガツガツ言ってはいけないと知っていたのか、ただのプレゼンだと思っていたのか・・・それはわかりませんが、もったいないな、と思ったのです。

25分間という限られた時間の中で、商談が成立するまではいきませんでしたが、お互いにさらに詳細な情報を送る、今後も連絡を取り合う、ということで終わったミーテイングが4組でした。
残りの1組は、投資家がアメリカ企業、投資して欲しいという会社が日本の企業で、他の4組とは逆のパターンでした。
日本企業の方はすでに投資家たちもいるし、利益も十分に出ているようでした。それについてはしっかりと説明をしていましたが、投資家であるアメリカ人の人の方がこのような商談に慣れていて、質問は的確にしていました。

どのくらいのお金が必要なのか。
どのくらいの期間でリターンは得られるのか?
リターンはどのくらいなのか?

これらを明確にしておくといいよ、と、投資家の方がアドバイスをしていました。

商談がうまくいくためには、「自分たちに何ができるのか」は、ほとんどのスタートアップの会社が明確にしていましたが、「自分たちの要求をわかりやすくする」「投資家と自分たちがwin-winの関係になる方法」については、明確でない、または聞かれるまでは言わかったので、もったいないな、と思っていました。

相手のメリットを考える。
自分と相手が組むことによって、何ができるのか、の事例をいくつか用意する、ということがどんなビジネスでも大事なのだと改めて思いました。

そしてこの気づきは、自分がビジネスをしている時にも応用できるな、とピカピカと「学び信号」が点滅しているように感じていました。

・私にできること。
・私のサービスを利用すると、あなたが得られるメリット。
・どのくらいの期間でそれはできるのか。

これらを明確にしておけば、クライアント候補の人たちは安心して、私の商品を買ってくれることでしょう。

新しい挑戦で気づいたことを、自分に置き換えて取り入れる。
これが「気づき」から「学び」への発展です。
このプロセスが私はとても好きで、多くの新しい経験を求めているのかも知れません。
この学びは今後の私に必要なことなのだろうという予感はあります。

ただ経験した、という満足感だけで終わるのか。
気づいたことを学びに発展させて、自分のものにして生かしていくのか。
ここには、大きな違いがあります。
せっかく貴重な1日を、そのアルバイトや経験に費やしたのであれば、感じたことも含めて何かを得た方がいいな、と思うのはあまりにも貪欲すぎるのかも知れませんが、私は好きでこれをやっていることに気づきました。
そして、noteを読んでくださった方にも、何かのお役に立てば嬉しいな、と思ってこの記事にまとめました。

気づいたことは、まだまだあります。
明日も、通訳アルバイトでの学びと気づきについて書いていきます。

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通りすがりのnoter Hiromi
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