オフラインイベントの熱狂をバーチャルでは再現できない
2ヶ月の育休期間中、頭の中の9割は子供のことしか考える余裕がなかったんですが、残りの1割では今コミュニティ界隈の方々が直面している課題である「withコロナ時代のコミュニティマーケティングはどうあるべきか」を考えていました。
オフラインファーストでスタートした僕らのチームも例外なく3月、4月に予定していたオフラインイベントは軒並みストップせざるを得ず、悔しい思いでした。
また、このタイミングで離れることになるのは後ろ髪を引かれる思いでしたが、リハビリ期間も終えて、ようやく頭が冴えてきたので今日はオフラインイベントにフォーカスして考えていることをシェアしたいと思います。
オフライン体験の要素分解から始める
昨年大盛況で幕を閉じた「みんなのメルカリ文化祭2019」というファンイベントを例に考えてみましょう。
総勢200名の方が参加くださったイベントなのですが、実はイベントの裏目標として、1000人や1万人規模になっても成立するコンテンツや運営体制の構築というのがありました。
当然改善すべき点は山ほどあるので、それらを踏まえた上で今年も盛大に開催するぞ!と意気込んでいたわけです。
ですが、今のこの状況においては大規模なオフラインイベントの開催は難しく、いつになるかわからない状況。
割と早い段階で、「いつ戻るかわからないこと」よりも「新しくチャレンジすること」に時間と頭を使おうという思考に切り替わっていました。
では、昨年のファンイベントをバーチャルで再現しようとした際に、改めてどのような体験に価値があったのかを考えてみます。
①家族や友達と一緒に楽しめた
→親しい人と一緒に時間を共有できる場
②メルカリのオフィスに遊びに来れた高揚感
→特別感・非日常感を感じられる
③手作り感があり会場の雰囲気が文化祭のコンセプトを表現していた
→イベントコンセプトと期待値のマッチ・SNSにシェアしたくなる映え
④参加型のコンテンツが多数あった
→1:Nではなく1N:Nの型
⑤文化祭実行員が主体的に伝説作りに参加し楽しめた
→BBQ型/ジャングルクルーズ型で生まれる求心力
⑥参加者と社員同士のコミュニケーションが活発にあった
→ブランドイメージのポジティブ転換・ロイヤリティ向上
⑦会場全体で一体感があった
→「オープニング〜ゲストトーク〜クロージングムービー〜集合写真」など全体設計と一体感醸成
細かなものだとまだまだ出てきますが、ざっと列挙するとこんな感じです。
こうして眺めてみても、文化祭があれだけ多くのお客さまに喜んでもらえたのは、オフラインならではの盛り上がりのエッセンスとそれがMixされた時に起こる小さな奇跡の産物だったんだと気づくことができました。
これらを踏まえると、オフラインで上手くいったことをそのままバーチャルで再現しようとするとかなり難易度が高いですし、無理だなと思っているのが正直なところです。
(HopinやToastyなどのイベントツールが早く日本でも使えるようになってほしい)
Hopin
チェックインから参加者のプロフィール閲覧、セッションやネットワーキング、スポンサーの紹介ブースまで、シームレスに体験できるイベントツール
Toasty
Zoomのブレイクアウトルームのように、小グループでビデオ通話&チャットができるイベントツール
Re PlaceではなくRe Valueで考える
オフラインの価値を代替しようとするのではなく、バーチャルだからこそ発揮できる強み(価値)に着目し、その強みをより魅力的に見せるという観点で考えるというのが今のところの個人的な結論です。
つまり、オフラインイベントの熱狂をバーチャルでは再現できないが、バーチャル世界用にRe Value(価値の再定義)するというアクションには繋げられます。
先ほどの例でいうと、バーチャルで親和性の高い取り組みはより広く深くして、親和性の低い要素は思い切って「切り捨てる覚悟」が必要です。
今はそのための仕込みをもくもく考えているところです。
ユーザーコミュニティが切り開く新しい可能性
昨年のイベントに参加し、繋がったメルカリのユーザーさん達が有志で「merci mercari」というコミュニティを立ち上げました。
手作りの素敵なコミュニティサイトもありますのでよかったらぜひご覧ください。
彼女たちの活動も、コロナがなければ4月に初めてのオフラインイベントを開催する予定でした。
イベント会場の参加費や飲食物の決済についてはメルペイで行う仕組みを導入したり、とてもアクティブに進めていただけに頓挫してしまったのは悔しかったと思います。
しなしながら、そこから色々な奇跡もあって、株式会社ガイアックスさまが主催された「親子でオンライン体験フェス」内におけるコンテンツの一つとして、「メルカリ出品体験ワークショップ」にチャレンジしてくれました。
そしてこの奇跡の種も、また別のコミュニティイベントに参加してくださったお客さまでした。
(コミュニティメンバー永野さんのブログより)
今回初のイベントかつオンラインということもありましたが、コミュニティのみんながそれぞれ先生役のバトンを渡しながら、画面の向こう側にいる総勢116組もの親子へ向けて、一生懸命に伝えてくれました。
お客さま発のコミュニティ活動に我々は刺激をもらいながら、僕らがお客さまに提供できる価値や今だからこそできることにしっかり向き合っていこうと、気持ちを新たにした出来事でした。
終わりに
現在、コミュニティやイベントに携わっている人たちはそれぞれの持ち場で戦っている状況だと思います。
まずは焦らず、これまで積み上げてきたオフラインの価値を丁寧に要素分解して、見つめてみることをお勧めします。
そして、ぜひ一緒に叡智を合わせて新しい価値の創造ができるように意見交換しましょう。
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