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FPが性教育になぜか興味を持った訳

最近、「性教育」領域に興味をもって、それに関わる団体へ寄附をするようになった。FPでありボランティア・コーディネーターのわたしがなぜ「性教育」なのか。なんとなくもやっとしていたこれまでの思考回路を整理してみようと思う。

以下、制度に関する情報について、細心の注意を払って掲載しているが、実際に利用するに当たっては、しかるべき窓口に問い合わせるなど、自己責任のもとで活用してほしい。

妊娠は病気に非ず?

早速ではあるが、ライフプランニングの話をしようと思う。
妊娠・出産にいくらかかるか、考えたことはあるだろうか。

【正常分娩の平均的な出産費用】
約50万6000円
出典:国民健康保険中央会/平成28年度(https://www.kokuho.or.jp/statistics/birth/lib/h28nendo_syussan1-4.pdf)

これは、帝王切開手術などを伴わない、「正常分娩」と呼ばれる状態での費用である。この費用、なんと全額が健康保険適用外となる。扱いとすれば美容医療などに近いカテゴリなのである。(もちろん、何らかの理由で医師が帝王切開の手術などの処置が必要と判断した場合には、健康保険がつかえる。)

実際は、この費用から42万円を引いた額が、妊婦の負担額となる。というのも、出産育児一時金という仕組みが健康保険(社保、国保とも)にあり、負担が軽減される仕組みになっている。

中絶した場合

何らかの事情で、「中絶」という選択肢をとる場合もある。この場合の取り扱いは母体保護法に規定されていて、母体保護法を踏まえて健康保険のとり扱いが定められている。

中絶の選択をした場合、「経済的な理由」である場合を除き、療養の給付(窓口負担が3割になる)を受けられる。とはいえ、保険適用となるのは、母体保護のために必要と医師が認める場合(治療行為となる)が主になるので、基本的には保険適用とならない、と考える方がよい。

緊急避妊薬を服用した場合

緊急避妊薬(アフターピル)を巡っては、「薬局等で購入できる」ようにすべきかという議論がなされているが、親展を見せていない。医師の処方が必要な薬ではあるが、病気治療のために処方されるわけではないので、健康保険の適用外である。医療機関にもよるが、1.5万円~3万円程度要するとか。

cf.性暴力被害による場合
前述は当事者間の合意のもので、それでも緊急事態が生じた場合の対応について紹介した。一方で、いわゆる性暴力被害を受けて、緊急避妊薬の服用や中絶をした場合、こちらについては公費で処置を受けられる場合がある。あなたは全く悪くない。一度、相談してほしい。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/index.html

・・・話を本題に戻そう。
妊娠・出産は費用面からみても人生の大きなイベントである。と同時に、母体にとっては大きな負担を伴うイベントであることは言うまでもない。正常な妊娠・出産は病気ではないので、健康保険ではカバーしきれないこともある。

経済面だけでは語れない

「妊娠・出産は人生の大イベントでお金もかかりますよ。」FPとしてはこの知識を正しく持ち、情報提供できればよいのだろう。しかし、わたしはこれだけでは不十分と考える。

昨年(2020年)の記事ではあるが、こちらを読んでいただきたい。
昨年春は、未知の感染症の拡大により、学校が一斉休校する、といった異例の春を迎えた。そんななかで、10代からの「妊娠相談」が増えた、という内容である。

前述の通り、妊娠・出産には経済的不安が大きく、それ以上に母体への影響がとても大きい(母親が妊娠過程で亡くなるリスクも無視できない)。まして10代の若い時期では経済面、身体面の双方からリスクが高い。

生むことができたとしても、その先育てるのにはさらに多くのお金が要る。経済的に困窮した果てに、虐待など悲しい事件に発展してしまった事例も散見される。

日本の課題

関西テレビで放送されたこの特集が、この国の課題を物語っている気がする。ライフプランを考える上での、「そもそも」のところの、正しい知識を持てていない、ということ。

FPが得意とする経済的な話題を話す以前のところが正しい知識として共有されていないのではないか、わたしはこの点にこの国の課題を感じる。

その解、それこそが性教育なのである。

どのようなメカニズムで妊娠するのか、避妊するにはどうしたら良いのかー。自分の身体にかかる人生設計について、ふわっとしか教えられていないのが我が国の教育である。

なぜ、ふわっとしか教えられないのか。こいつの存在が大きい。

*学習指導要領*

我が国の教育課程の基本になる、学習指導要領では、「妊娠の過程そのもの」については積極的に扱わない方向に書かれている。それについてはこちらの動画(先ほどの関テレ放送分の後半)をご覧いただきたい。

望まない妊娠が増えているのに、教えたくても学校では教えられない―。
明確に少子化が進んでいるにもかかわらず、一方では望まない妊娠が増えるー。なんだかなあ、と私は課題意識を持っている。

性教育

わたし同様、いや、わたし以上に、前述のような課題意識を持って、活動に取り組んでいる人たちがいる。

たとえば、こちら。

「知らなかったで傷つく人をゼロにしたい」「『悩みを持ったときすぐに相談できる社会』へ」といった考えのもと、【性教育トイレットペーパー】などのプロダクトを開発、販売することを通じ、子どもたちに正しい情報を届ける活動をしている。

わたし自身は子どもにかかわる仕事をしているわけでもなければ、医師や助産師のような知識を持っているわけではない。というわけで、わたしのもやもやは、寄附を通じて専門で活動している人たちに託すことで、社会のモヤモヤに一石を投じたいと考える。

何か思うことがあるあなたも、一緒に一石を投じません?
https://syncable.biz/associate/sowledge/donate

今は、いち寄付者として活動を応援している立場ですが、いつかはFPとしての知識を生かして、困りごとをかかえる当事者さんと一緒に悩みながら伴走する、そんな存在になれたら、なんて思っている次第。

【参考文献】
出産に関する給付/全国健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31712/1948-273/
性犯罪・性暴力とは/内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/index.html
「コンドームつけなくていいよ」と言ってしまう人に必要なのは 性知識 じゃない。/つるたま
https://note.com/tsurutamago/n/n922c0d77ebc4#67TfT


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うえまつさん@ファイナンシャル・プランナー
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