【傷はぜったい消毒するな(夏井睦)】うえこーの書評#40
傷や火傷の対処は今まで,乾燥,消毒が鉄則だった.私も小学生の頃転んでひざを怪我したとき,消毒をしたが,その時の消毒液が染みて痛かったことを覚えている.
しかし,それらの治療法はこの本によれば全くの間違いだ.筆者曰く消毒はしない,そしてかさぶたを作らず,乾燥を防ぐ「湿潤療法」が本当に効果のある治療法らしい.実際,掲載された写真を見るととてもきれいに治っている.
「湿潤療法」はこの筆者だけが言っている方法ではない.武道家の甲野善紀さんも認める治療法である.身体運用について長年研究してきた甲野さんが認めているのであれば効果は保証される.
ところで,コロナが蔓延する現在,消毒を何回もすることはあるが消毒のし過ぎも問題だ.
何かに触れるたびに神経質に石鹸や消毒薬で手を洗うのは考えものだ.石鹸や消毒薬に含まれる界面活性剤が,皮脂を洗い落としてしまうからだ.もちろん,それでも毛穴から皮脂は常に分泌されるから,ふつうなら問題ないが,皮脂の分泌を上回る頻度で洗っていれば,やがて皮膚は次第に皮脂を失って乾燥し,皮膚常在菌が生存できない皮膚になってしまう.(p.221)
皮膚常在菌がいなければそこに外部からの菌が侵入し,拡大する.皮膚常在菌自体に害はない.消毒は害のあるなしに関わらず菌を殺してしまうことは肝に銘じておきたい.
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補足
現在「湿潤療法」で傷を治せるものにキズパワーパッドがある.私も「湿潤療法」を試してみたいと,買ってみた.しかし,全く怪我をしない.だからと言ってわざと怪我をしたいわけでもない.私が実際に体験するのは当分先のことになりそうだ.
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