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【別冊 数理科学「時間」】うえこーの書評#50
昭和56年(1981年)発刊で,それまでの「数理科学」で時間に関する論文を集めたもの.
時間は我々にとって何を意味するか(渡辺慧)
生物において「原因」とは「結果」の前にあり,自由意志により選択されたものである必要がある.(放火の原因は「そこに酸素があるから」ではなく,「誰かが火をつけたから」の方が適しているというような捉え方でいいのか私はわからない.)
時間における次元(村上陽一郎)
ニュートンとライプニッツの時間の捉え方が違うようだ.
「ニュートンは時間(絶対時間)をことがらの外に想定し,ライプニッツはそれをことがらのなかに想定したと言える」らしい.
熱現象と統計力学における時間(戸田盛和)
エルゴード仮説の説明が載っている.この問題はどちらかというと数学者によって扱われ,当時計算機実験が行われている状況だったようだ.
宇宙論と時間(佐藤文隆)
宇宙論での一般相対性理論的な時間の捉え方が書かれている.
地球自転の一様性(竹内均)
地球の自転の変化は質量によるもの,運動によるもの,偶力によるものにわけられるそうだ.潮汐力が自転に影響を及ぼすことは有名だがそれは質量における変化に分類される.
いまや時間はミクロである(江沢洋)
原子時計の仕組みが書かれているが,正直ちゃんと理解できていない.
時間の論理(杉原丈夫)
時制は英語の勉強時,意識してきたが,時相という言葉を初めてしった.論理学の手法を用いれば自然言語より正確に内容を伝えられることがわかった.