【新版 算数わかる教え方(遠山啓/銀林浩編)】うえこーの書評#64

 遠山啓の数学の教育法が記された本.

分析・総合の方法を駆使して計算問題を徹底的に分析し,問題の型分けをしていきました.そして,どの型から指導するかの順序をつけていったのです.こうしたなかから,計算指導の体系は今まで常識となっていた「特殊から一般へ」の進み方ではなく,「一般から特殊へ」進む方がよいことに気づいたのです.
 そのありさまは,ちょうど高い所にある水源地から水道管で枝分かれして各家庭におくられる水道の設備とよく似ていました.そのため,当時冗談半分に「水道方式」と名づけたのですが,それが,いつのまにか本名となってしまったのです.(p.23)

この本のなかでも,足し算,引き算の筆算を数種類の型に分解し,説明している.ただ,実際に,この説明の仕方がわかりやすいかは,既に筆算を使いことに慣れている人にはわからない.

 また,集合論をもとにした教育法が取り入れられており,タイルを用いた説明がされている.私が小学生の時,お道具箱にはブロックがあり,算数の授業で使ったような気がするので現在の算数教育でも遠山啓の精神が受け継がれているのかもしれない.

 ちなみに遠山啓の教育法については以前に紹介した本でも紹介されている.

遠山啓の教育法が出るまでは,藤沢利喜太郎がクロネッカーの考えを踏襲した「数え主義」の教え方だった.それに対し,遠山の「集合算主義」はフレーゲの集合論をもとにした教え方だった.

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