【論争・学力崩壊(「中央公論」編集部・中井浩一)】うえこーの書評#103

 当時の「ゆとり」政策の是非を中心にこれからの教育について様々な立場の人が意見を述べている。

 今まで、「ゆとり」政策は失策だったという意見ばかりよく聞いてきたが、今回文科省がどういう経緯で「ゆとり」政策が実施されたのかが寺脇研さんの文章で知ることができた。

 一番衝撃的だったのが、学習指導要領で学ぶことは「最低限」教えなければならないことであって、別にそれ以上のことを教えてはいけないというわけではないということだった。しかし、現実は寺脇研さんも書いている通り、学習指導要領にないことは教えてはいけないと勘違いしている先生が多いらしい。現在でも、学校でまだ教えていないことを使ったら先生に注意されたという話はTwitterで度々流れてくる。子どものやる気を阻害するので即止めてほしいと思っていたが、国からのお墨付きをもらえたのは良かった。

 しかし、「ゆとり」政策自体はあまり良いものとは思えなかった。「ゆとり」政策では小中で学ぶことを少なくしてその分教えられたことは全員確実に理解させ、その分高大で分量を増やすという意図があったらしい。だが、小中で全然学べないまま高大で急に勉強ができるようになるとは思わない。勉強とは学べば学ぶほど色々なものが関連しあいより理解できるものだ。小さい頃にある程度は詰め込んだ方がその後の理解につながるのではないか。

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