【犠牲のシステム 福島・沖縄(高橋哲哉)】うえこーの書評#90
福島の原発と戦時中に戦場と化し、現在も多くの米軍基地が存在する沖縄とを「犠牲のシステム」という観点から論じている。
ここでいう「犠牲のシステム」を本書では以下のように説明している。
犠牲のシステムでは、或る者(たち)の利益が、他のもの(たち)の生活(生命、健康、日常、財産、尊厳、希望等々)を犠牲にして生み出され、維持され、犠牲にする者の利益は、犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし、維持されない。この犠牲は、通常、隠されているか、共同体(国家、国民、社会、企業等々)にとっての『尊い犠牲』として美化され、正当化されている。(p.27)
福島は原発の被害を受け、沖縄は米軍基地があることによる弊害を受けている。たしかに、助成金や労働者の雇用によってそれぞれの地域にも恩恵はあるが、その利益のほとんどは国のものだ。
日本は平和な国だといわれるが、その平和は誰かの犠牲によって成り立っているかりそめの平和であることを理解し、本当の平和を実現すべく尽力していかなければならない。
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