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香港のTVCM制作現場はこんな感じ

ところは葵芳という九龍半島を北に少し上がった場所、この辺りは古くから倉庫と事務所を兼ね備えた”産業ビルディング”が数多く立ち並んでいます。どのビルも一階には(こちらで言えばイギリス風にG/F=Ground Floorだ)運搬用のトラックが頻繁に出たり入ったりしています。

時には蛇腹のドアがついたエレベーターに乗って上の階まで上がっていくことに。映像や写真撮影のスタジオはこうした産業ビルの中に居を構えていることが多いです。撮影スペースが確保でき、資材を置いておくこともできて、何よりレンタル料が若干格安になるからです。

映像の仕事は日本同様いくつかのパーティが共同して作業を行うことになります。もちろん、まず制作を発注するクライアントがいます。その意を受けて企画とディレクション、コーディネイトを行う存在が我々エージェンシーになります。また、タレントやインフルエンサーを起用することになるのでマネジメント事務所も関わってきます。

制作チームの中心となるのは制作プロダクションです。監督、アシスタント数名、カメラマン、録音技師、ライティング担当、大道具、小道具、スタイリストなどなど。自前で全てのスタッフを抱えている場合もあれば、その都度必要に応じてピックアップされてくる場合もあります。

編集エンジニアや音楽担当などは通常、撮影が全て終わってからのいわゆるポストプロダクションの作業から加わってくることになります。こうして中規模クラスの撮影でも30人や40人くらいの人達が、一つのゴールを目指して共同の作業を行うことになります。一回のカットでOKが出ることはあまりありませんから二回、三回と同じシーンを繰り返すことになります。

やり直しの要請は私たちエージェンシーからのリクエストであったり、監督自身が納得行かずにやり直したり、もちろんクライアントからの要請による場合もあります。作業そのものが生き物のように何が起こるかわからないことも多いので、タイムスケジュール通りにはなかなか進んでくれません。もし延長となれば、タレントの拘束時間やスタジオのレンタル料金に影響が出ることになるので、関係者はだんだんとピリピリして来ます。

あるテイクのオッケーが出るとスタジオ全体に一瞬だけ、ほっとした空気が流れるのですが、スタッフ達はすぐに次のシーンのためのセッティングに動き出すすので、全くの静寂が訪れることはありません。活気のある現場からいい仕事が生まれるのを祈るばかりなのです。

今回制作したのはReturnというブランドで冬虫夏草という漢方にも用いられるキノコのエキスを配合した免疫力向上のためのサプリメントです。主なターゲット顧客はお母さんと子供です。

TVCMだけでなく、地下鉄のライトボックスなどに使用するキービジュアルのスチル撮影も並行して行いました。香港の地下鉄主要駅にすでに広告が掲載されています。(見出し画像参照)

こうやって実際に、世の中にメッセージを発しているところを目にするといつも、制作の現場が頑張ってくれたおかげだなと感じ入ります。お疲れ様でした。ありがとうございます。



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