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【鉄道】横国大ラビリンス

1.はじめに

10年前、恩師に会うため横浜国立大学(横国大)へ行ったことがある。
恩師といっても、私は横国大のOBではない。
たまたま高校時代の英語の先生が、研究の道に再入学して、横国大の准教授までなった人である。
年賀状のやり取りだけだったが、自分の尊敬する先生が、横国大で教鞭を取ることは、どこか誇らしかった。
その先生に会いに横国大のキャンバスに行った。
そのころは、「羽沢横国大駅」なんてものは存在せず、横浜駅西口から「相鉄バス」で校舎へ行ったことがある。
それから10年余…。
あの「相鉄」が、JRや東急と「総合乗り入れ」して、都内へ進出するなんて夢にも思わなかった。
さる人の付き添いで、横国大に行くことになった。
自宅のある千葉県からは、横須賀線で、西大井に出て、そこで相鉄直通電車に乗り換えて「羽沢横国大駅」まで行くのが便利である。
もちろん、鉄道好きの私としては、これを機会に、JRと相鉄の総合乗り入れルートを乗車したいという思惑があった。

はじまりは横須賀線

2.JR・相鉄直通はローカル線?"

JRと相鉄の直通、これは本数が少ないのが誤算であった。
西大井駅に着き、待てど暮らせど「コバルト色」の相鉄電車がやってこない。駅の時刻表を見たら、どうやら「相鉄直通」は1時間に2本という希少電車らしい。どこそこのローカル線のようである。
それでも、やっと来た「相鉄のコバルト電車」に、ココロわくわく。
所帯を持つまで、神奈川県を生活拠点にしていたこともあり、神奈川は「ふるさと」である。それでも根岸線や京急線の「南部」に親和性が高く、相鉄線は、どこか不思議な存在がした。
大船から横浜に向かうJR東海道線や横須賀線。車窓を眺めていると、保土ヶ谷駅を過ぎたあたりから「相鉄電車」へ並走してくる。
もしも、同行者が、希望のひとつである「横国大生」になったら、西大井で乗り換えるルートで通学するのかと思うと考えもひとしおである。
ルートでは、JR武蔵小杉(東急の武蔵小杉と区別するため、あえて相鉄電車は、JRを強調していた)までは、横須賀線(品鶴線)を走り、そこから貨物線ルートに行く。
だから「新川崎」には停車しない。JR武蔵小杉から横須賀線と分岐して、貨物線ルートに入る。
貨物線(相鉄直通線)は、JR鶴見駅を通過して、そこから生麦あたりでトンネルに入る。
個人的な見解では、この「鶴見」にも、相鉄線直通電車の専用乗降駅を造れば、便利ではないかと思う。
JRの路線図では「盲腸線」の終点、羽沢横国大駅に到着。
ここから先は、相鉄エリアになる。
羽沢国大駅の駅舎は、JRと相鉄線の折半となっているようなつくり。
この日は、横浜国大のオープンキャンパスでもあり、受験生がごった返していた。
特に、新横浜から来た「新幹線組」が、ICカード乗車券の乗り越しが不慣れらしくて、清算有人窓口がごった返していた。
私の同伴者も、スマホに格納している「スイカ」と「パスモ」の二刀流であるが、それ故に、チャージしたスイカと、改札を記録画面を「パスモ」にしたため、改札を出るときに「料金不足」となり、長蛇の列の「清算窓口」のお世話になった。
鉄道愛好者の私にしては、この失態はいただけない気もするが、本場の受験を前に、こういう「エラー」を経験しておいた方がいいかもしれない。

まぼろしの相鉄電車

3.横国大パワー丼

なぜ同行者は横国大を希望しているのか?
それは、同行者本人にしかわからない。
オープンキャンパスでの説明会や資料などを入手したが、文系趣味人の私にとって、彼女が進学したいという「理工系」は何のことやらさっぱりわからない。
腹ごしらえに、横国大の「理工学生食堂」でランチをいただく。
「横国パワー丼」なる「どんぶりメニュー」を注文しようにも、配膳の看板には、「SOLD OUT」のシールが貼られていた。
落胆しつつ、他のメニューを考えていたら、食堂のおばさんがやってきて、「SOLD  OUT」のシールをはがす。
横国大パワー丼、奇跡の復活劇である。
豚肉と「にがり」のある青菜で和える。素朴ながら、たしかに、これを食べたら、パワーが沸くだろうな、という抜群のセンス。
会計も今時の学食は「電子マネー」を使うことができた。

横国大・戦利品

4.横国大ラビリンス

自分の学生時代と比べて、大学も洗練されているイメージがある。
横国大では「ゼミナール」のことを「スタジオ」と呼ぶらしい。
見学に訪れている受験生は、皆、賢そうな人ばかりである。
摸試であちこちの地元・千葉の学校に行っている同行者の情報によれば、横国大は、「緑が豊富で、キャンバスも広々としている」という。
たしかに、横浜は、緑園都市というイメージがある。
ここでの学生生活が始まれば、きっと「寄り合い」は、横浜市街地(商業地区)になるだろう。
横浜駅に出るため、電車を使うには、三つのルートがある。
・羽沢横国大駅からの新横浜ルート
・和田町駅からの相鉄ルート
・三ッ沢上町からの地下鉄ルート
いずれも「一端一聴」ではある。
大学キャンバスからの最寄駅は「羽沢横国大駅」。
しかし、この駅には、トラップがある。
「乗るべき電車」と「乗ってはいけない電車」が混在しているのである。
もちろん、そうした「違い」を鉄道愛好者なら楽しめるだろう。
しかし、スイカとパスモのチャージと入場使用の「ねじれ現象」という致命的なミスを起こしている同行者にとっては、どうだろう。
帰りの電車も「JR直通」がやってこない。
羽沢横国大駅から千葉方面へ帰るには、次の駅が「JR武蔵小杉」でなければならない。
決して、次の駅は「新横浜」の電車に乗ってはいけない。
どっちの電車も「武蔵小杉」に行くのだが、細かいルールがややこしい。
いや、それが楽しみでもある。
「羽沢横浜国大駅」
不思議な魅力を醸し出す、鉄道愛好家を唸らせる珍駅であった。(了)


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