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翻訳された海外のギャグ


レスリー・ニールセン主演の映画「裸のガンを持つ男」(1988年公開)は日本でもヒットし、シリーズは3作まで製作された。

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元となったテレビシリーズ「フライング・コップ」はわずか6話のみだが、当時マニアックなギャグ好きな者たちの心とか色んな所をギュッと鷲掴みにされた作品だった。

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 鷲掴みにされた一人だった私は、封切りされてすぐに劇場で鑑賞したのだが、テレビ版のクールなスタイルでは無く、少し大袈裟な演出になっていたのは鼻についたものの、まあまあ面白かった。

 劇場版のクレジットに「ギャグ監修 ラサール石井」とあったように記憶しているのだが、ネットで調べても一切ヒットせず。あれは幻だったのだろうか、何しろ30年以上前の事だから、致し方なし。

 さて、ここからが本題。字幕で気になった場面があったので、是非ご紹介させて欲しい。それは本作のビデオレンタルが開始され、再度見返した際に気づいた事なのだ。

 主人公のフランク・ドレビンは刑事。ある事件をヒロイン、ジェーンと共に調査しているが、ディナーの席で本日の調査の結果をジェーンに話す場面。

ビデオ版では以下の様な日本語字幕になっていた。

フランク「ところで今日面白い写真を見つけたよ」

ジェーン「あたしの裸の写真?」

このやりとりは記憶で書いているのだが、明らかに劇場版の字幕とは違っていた。ギャグとして良かったから、印象に残っていたのだ。

もう少し検証を進めてみた。

DVD版の字幕では以下の通り。

フランク「さっき見た写真と同じくらい面白いな」

ジェーン「私の裸の写真?」

DVD版の吹き替え。

フランク「しかしあれだな 今日見た写真には 正直いって びっくりしたよ」

ジェーン「あれは 若気の・・・」

このDVD版の吹き替えが、今までの中では一番良いと思うが、では私の印象に残っている、劇場版の字幕ではどうなっていたのか?

フランク「ところで今日面白い写真を見つけたよ」

ジェーン「あれは 食べるのに困って・・・」

いかがだろうか?実に含みのあるセリフになっているではありませんか?「食べるのに困って」撮った写真とはどんな写真なのかと想像させる上手い表現だと思う。「裸の写真」では直接過ぎて、分かりやすくはなるが面白くは無い。

さて、それではお待ちかね本作や(誰か待ってた?)原語版では何と言っているのか。

フランク「Interesting…Almost as interesting as the photographs I saw              today」

ジェーン「I was yong, I needed the work」

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直訳すると。

フランク「面白い 今日見た写真と ほぼ同じくらい面白い」

ジェーン「私は若かったし 仕事が欲しかったのよ」

という感じだろうか。(最後のNoは次のフランクのセリフです)

結局オリジナルのセリフに最も沿っているものが一番面白かったのではないだろうか?説明過多だと野暮になり、説明が足りないと分かってもらえないかも知れないが、ギャグというのはその辺のせめぎ合いで成り立っているものだ。無論それは個々の作家のスタイルによるところだが、本作や「フライングコップ」に多大な影響を受けた私は、含みのある方に一票を投じたいと思う。




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上野顕太郎
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