貸本漫画「影」(八興 日の丸文庫)の発行部数について
さいとう・たかをさんや辰巳ヨシヒロさんが
活躍していた貸本漫画の短編誌「影」の
発行部数について、これまで何度か
書いてきました。
自分のブログからですが、抜粋します。
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最も売れた貸本はどれぐらいの部数が
刷られていたのか? についてです。
辰巳ヨシヒロさんの兄で劇画家でもあり、
出版社「東考社」を経営していた
桜井昌一さんが本で書かれています。
(参考「幻の貸本マンガ大全集」(文藝春秋)の
あとがきで長井勝一さんと対談)
『最盛期の昭和三十一、二年ごろで、
「影」が八千ぐらい、「街」が六千ぐらいでしょう』
「ガロ」を出版していた青林堂の長井勝一さんは
同書でこう語っています。
「一万出たのはないでしょう。
あれだけ騒がれた白土三平の「忍者武芸帳」でも六千です。」
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今回、「劇画漂流」の下巻に部数について
記載がありましたので、残しておきます。
八興出版社の山田秀三社長が
辰巳ヨシヒロさんに話しかけるシーンです。
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「新しい『影』や
おかげでえらい評判でっせぇ
配本したけど5千部では
足らんかった」
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「影」11号です。
八興出版社が「影」10号を出した後に倒産し、
再起した後に出版したのが11号です。
倒産は1957(昭和32)年で、
再建は同年9月。
10号までは上製本(ハードカバー)でしたが、
11号からソフトカバーにしました。
12号以降の部数は描かれていませんが、
5千部で足らないと言っているので、
もっと増えているでしょう。
「劇画漂流」内での部数が正しいかは
なんとも言えませんが、
また「影」の発行部数について記載が
あればブログに残していきます。