奈良県大和郡山市が提示した水道広域化の条件とは~2023年9月議会③~
奈良県大和郡山市が提示した水道広域化の条件とは
(斉藤達也) では次に、奈良県大和郡山市は、令和3年1月の広域化に関する覚書締結時には署名を見送っており、その理由は主に3つありました。1つ目は、災害時にも自力で水を確保できる自己水源の廃止が盛り込まれていたこと。2つ目は、大和郡山市の水道事業は貯金が多く、負債は少ないにもかかわらず、広域化で事業統合した場合に持ち寄る貯金や負債のルールが定められていなかったこと。3つ目は、広域化した場合に目標とする管路更新率1.34%では、老朽化を抑制するのには十分ではないと判断したとのことでした。
その後も、市民から提出されたルールなき広域化に反対する請願を市議会が全会一致で採択し、それを基に市長から知事宛ての要望書を2回にわたり提出するなどして協議してきた結果、次の条件を獲得し、広域化への参加を表明しました。それは、1つ目が自己水源の更新存続、2つ目が引継ぎ資金のルール化に関連して、大和郡山市のように引継ぎ資金の額が大きな団体に当初10年間は優先的に投資すること、3つ目が管路更新率1.5%という条件です。その後の議会では、広域化に向けての法定協議会の設置議案が賛成10対反対9の僅差で可決されるなど、議会での賛否はいまだ拮抗していますが、現在は広域化に向けて検討が進められています。
自己水率が高く水道料金が安い自治体は広域化への参加を見送っている
ここからは、大和郡山市が参加条件として提示した3点について、上田市についても考えていきたいと思います。まず、自己水源について伺います。大和郡山市の自己水率は50.7%であり、奈良県下で3番目に高いようですが、奈良県内で広域化への参加を見送った奈良市は自己水率87.7%と最も高く、同じく参加を見送った葛城市も78.5%と、奈良市に次いで自己水率が高い自治体です。また、水道料金については、大和郡山市の一般的な水道料金13ミリ口径、日当たり20立米使用を前提としたもので月当たり2,992円であり、上田市の2,862円より少し高い程度ですが、奈良市と葛城市の水道の供給単価は大和郡山市より低いのが実態です。要は、奈良県では自己水率が高く水道料金が安い2自治体が、広域化への参加を見送っているということです。
そこで伺います。1点目として、奈良県では自己水率の高い奈良市と葛城市が水道事業広域化への参加を見送ったが、上田市の自己水率はどうか。また、上田市と同等以上の自己水率を有する自治体のうち、水道事業広域化に参加、または前向きに検討している自治体は把握しているか。
2点目として、上田市の一般的な水道料金は県内19市中14番目と安いほうだが、全国での位置づけはどうか。
3点目は、本日議長の許可をいただきまして、こちらのパネル(トップの画像参照)を持ち込みましたので、それを基にご説明いたします。議員の皆様にも、お手元に資料を配付させていただきました。こちらは、水道事業広域化の市民説明会の資料にもあります広域化による施設整備の概要(構想)の一部抜粋です。私が一部加工しているところもあります。水道事業広域化検討では、県の諏訪形浄水場は、広域化により加わる給水エリアへも送水する能力が既にあり、塩田及び川西の一部の地域については染屋浄水場からの水道水に変更し、塩田、川西の一部地域には染屋浄水場から送水することを構想しているが、広域化による施設整備の中で、染屋浄水場から諏訪形浄水場を経由せずに、新たに整備する長野への送水管に連絡管をつなぐ目的は何か。
以上3点お尋ねし、第3問といたします。
上田市の自己水率は100%!水道料金は全国でもまあまあ安いほう
上下水道局長(堀内俊克君) 自己水率についてのご質問についてお答えいたします。
自己水率等は、自身の事業体にて賄える水量の比率のことで、100%未満の場合は、他の水道事業者から水道水を購入し取水していることを示しており、上田市営水道は全てが自己水源であるため、自己水率は100%です。
全国の事例において、上田市と同等の自己水率を有する自治体で水道事業広域化に参加、または前向きに検討している自治体は、埼玉県の秩父広域事務組合に参加している秩父市ほか4町、また発足時における群馬東部水道企業団に参加している太田市、館林市ほか1市5町などが挙げられ、検討中は我々の研究会メンバーが挙げられます。
次に、上田市の水道料金の全国順位ですが、日本水道協会が発行する水道料金表によりますと、令和4年4月1日時点の順位として13ミリ口径で20立方メートルの場合、安いほうから数えて全国1,256事業体中469位とのことです。
染屋浄水場から長野方面に直接送水することはない
次に、連絡管の目的についてですが、諏訪形浄水場を経由しない長野方面への送水管へ直接染屋浄水場からの連絡管を新たにつなぐ構想の目的ですが、この連絡管は災害時等緊急時のための連絡管整備となります。これは、諏訪形浄水場において、被災や事故等による浄水能力の低下によって下流域への給水が困難となった場合などの非常時において、染屋浄水場から長野方面への応援給水を実施することを目的とした緊急連絡管を想定したものであり、通常時においては送水することは考えておりません。
以上となります。
(斉藤達也) ご答弁いただきました。先ほどの連絡管については、通常時は送水することは考えていないということでした。