見出し画像

板書研究のポイント No4

本シリーズでは、教師が少し意識することで授業を変化させることができる板書研究について述べてまいります。本号ではその第2弾「教材の特性をいかした○○型板書」についてです。
*前回号と合わせてお読みいただけると幸いです↓

教材の特性を活かした○○型板書

3 関係性型板書
関係性型板書とは、教材に出てくる登場人物と周りの人々との関係性が見えるようにした板書です。
教材には、主に主人公の変容が描かれており、その変容した場面や心情に道徳的価値が含まれていることが多々あります。

例えば、次のような教材があります。
最初は、友達を仲間はずれをしていた主人公たちが、誰かの言葉(または行為)を通して学び、「これではいけない」と考え直す。そして、最後は友達を仲間に入れてあげる、という内容です。

この教材でも、主人公の変容前と変容後を考えさせることで価値の理解を深めることができます。

しかし、変容するきっかけとなった「誰か」の存在も大切です。
そのきっかけとなった「誰か」が、どのように影響を与えたのかという視点から考えさせることで、さらに多面的・多角的に考えを深めることができるのです。

そんな時に、関係性型板書がいきてきます。

今回も、一つの教材を使ってさらに詳しく説明していきます。

教材:学研 6年「マザー・テレサ」
内容項目:勤労、公共の精神
【主なあらすじ】
ノーベル平和賞を受けたマザー・テレサの生き方や働き方を描いた話である。少女時代がら修道女になると決めていたテレサは、18歳でインドに渡った。女学校の校長を任されたテレサであったが、街の貧しい人々の暮らしを知り校長を辞め、ボランティア活動を始める決心をした。それから「死を待つ人の家」「孤児の家」などを開き貧しい人々のために尽くした。最初は一人でボランティア活動を始めたテレサであったが、それに感銘を受けた人々が次々と共に活動するようになる。その功績が認められノーベル平和賞を受賞するという内容である。

教材を読み終えて、次のようなやりとりを行います。

教師:マザー・テレサの働き方はいい働き方ですか。
子ども:良いと思う。
子ども:だって、多くの貧しい人を救ったから
教師:でも、テレサはお金も自由時間もないよね。それでも、良い働き方なの。何も得るものがないよね。
子ども:そんなことはない。多くのものを得ているよ。
A児:救ってあげた人からの信頼や愛情ももらっている。
B児:テレサに感動して、仲間や教え子も増えたよ。
C児:最後は、多くの国民から感謝ももらったよ。
教師:それって、働く上でお金よりも大事なものなの?
D児:お金では得られないものがあると思う。例えば、仲間や周りの人からの信頼があれば前向きに働くことができる。それがエネルギーになるんだよ。

この授業を次のような関係性型板書を行った。

少し説明を加えます。

まず、マザー・テレサが行った活動を中央にかきます。
その後、A児、B児、C児の発言を受けてマザー・テレサと周りとの関係性を可視化しながら、教材には描かれていない働くことの意義を浮き彫りにしていくのです。
そうすることで、D児が発言したように働くことの本質が見えてくるのだと思います。

以上が関係性型板書です。
ポイントは、主人公だけでなく様々な登場人物の視点を黒板に示してあげることです。そうすれば、子どもの考える視点が多面的・多角的になり価値理解を深めることにつながるのです。

次回は、板書研究の最終章である「○○の視点移動で板書を創る」について述べてまいります。
2週間後の8月21日(日)に投稿いたします。
よろしくお願いします。

いいなと思ったら応援しよう!