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板書研究のポイント No1
本シリーズでは、あまり他では語られない板書研究について述べてまいります。本号では、その第一弾「板書でつなぐ授業」についてです。
1 板書で「つなぐ」授業
板書の役割を以下のように前号で述べました。
○子どものひらめきや創造的な考えの手助け
○学習活動の中で起こる多様な考えの整理
○新たな価値の創造
*詳細は前号を参照下さい。
それをまとめると「つなぐ」ということだと考えています。
では、何と何をつなぐのでしょうか。
それは・・・
□子どもと子どもをつなぐ
□子どもと学びをつなぐ
この二つです。
詳しく説明していきます。
(1) 子どもと子どもをつなぐ
教師が問いを投げかけた時、子どもは様々な視点から発言してきます。
しかし、その発言は完成されたものではなく、むしろ未完成のものが多いということに私たち教師は意識しなければなりません。
意識しなければ・・・
未完成の言葉を、教師が表面的に受け取り授業に位置付けしまいます。
そうすると・・・
子どもの発言の価値が半減してしまうのです。
(時には半減以下になることもあります)
例えば・・・
(友情について考える授業:教材「泳げないリスさん」)
教師:最初の3人と最後の4人はどっちがいい友達ですか。
子ども:最後の4人だと思う。
教師:でも、泳げないリスさんを仲間に入れると遊びが減っちゃうよ。ということは楽しさが減っちゃうよね。それでもいいの?
子ども:最後の4人だって楽しさは増えてるよ。
子ども:リスさんのことも考えているから遊びが増えると思う。
子ども:そうだよ。みんなで遊んだほうが楽しいよ。
このような子ども発言が出てきた時に、次のように板書します。
![](https://assets.st-note.com/img/1656117481579-vbYGUgcMd2.png?width=1200)
このように子ども声を表面的に受け取り羅列的に板書してしまうと、子どもの発言の真意が曖昧になり、聞いていた仲間に共有されにくいのです。
では、次のように板書を変えます。
![](https://assets.st-note.com/img/1656117900028-hWEsL56RzX.png?width=1200)
このように最初の仲間構造(左側)と、最後の仲間構造(右側)を可視化しながら、子どもの真意を引き出し、図や矢印などを用いて思考過程を板書していきます。
そうすることで、発言した子どもの考えが、周りの子どもにも共有され話し合いが活性化したり、学習に深まりが生まれたりするのです。
では、前者と後者の違いは何でしょうか。
それは・・・
前者は、子どもの発言(結果)を文字として記録しているだけに過ぎません。
それに対して後者は、子どもの思考過程や話し合いのプロセスを可視化した板書なのです。
つまり、子どもの思考プロセスを板書で可視化することで、子ども同士のつながりが生まれ、相乗効果を引き起こすことができるのです。
(2) 子どもと学びをつなぐ
どの教科でも「深い学び」の実現に向けて授業改善が行われています。そのためには、上述した子どもと子どもをつなげることは大切なことです。それと同時に、もう一つ大切なことがあります。
それは・・・
図式化です。
どうしても、言語だけでは越えられない壁があります。
それを図式化することで「深い学び」を生み出すのです。
例えば・・・
算数でも、図や表にまとめることで数学的な見方・考え方が働き始め、数の規則性を発見することができます。
国語でも、文章構成図を活用することで言葉による見方・考え方が働き始め文章の全体構造を把握することができます。
道徳科も同じです。
道徳科においても、言語だけで多面的・多角的な考えを働かせたり新たな価値を創造したりすることは難しいのです。
つまり、「思考の図式化」が深い学びを実現させるための鍵になるのです。
とはいえ、思考を図式化することは容易ではありません。
そこで、次回からは、私なりの思考の図式化のパターンを「教材の特性を生かした○○型板書」「○○の視点移動で板書を作る」という2つの視点から迫っていきたいと思います。
次回は、2週間後の7月10日(日)に投稿いたします。
よろしくお願いします。