見出し画像

板書研究のポイント No3

本シリーズでは、教師が少し意識することで授業を変化させることができる板書研究について述べてまいります。本号ではその第2弾「教材の特性をいかした○○型板書」についてです。
*前回号と合わせてお読みいただけると幸いです↓

教材の特性を活かした○○型板書

2 ストーリー型板書

ストーリー型の板書とは、主人公の生き方を丸ごと板書で見えるようにした板書です。
例えば・・・
道徳教材によく出てくる偉人伝では、その人の生き方がざっくりと描かれています。
そして、考えさせたい場面や内容項目に合わせて、ポイントとなる場面だけを切り取り教科書で描いているのです。
*教科書には字幅の問題があるため仕方のないことです。
しかし、偉人の価値に気づかせるためには、行間を考えさせなければなりません。
そんな時に、ストーリー型板書がいきてきます。

一つの教材を使ってさらに詳しく説明します。

教材:学研 5年「世界に羽ばたく航平ノート」
内容項目:希望と勇気、努力と強い意志
【主なあらすじ】
ロンドンオリンピック金メダリストである内村航平選手が、幾つもの困難を乗り越えて、理想とする演技を獲得するために、根気良く努力を続ける姿が描かれている。
小学校高学年の時に自らイメージした技を「じゆうちょう」にかき溜め、困難な状況でも不屈の精神を持ち現状で満足せず、より高い技の獲得に向けて、ひたむきに練習する内村選手の少年時代の話をポイント場面として描いている内容である。

教材を読み終えて、次のようなやりとりを行います。

教師:内村選手は、なぜ金メダルを取ることができたのでしょう。
子ども:小学校の時に「じゆうちょう」を書いたからだと思う。
教師:では、みんなも「じゆうちょう」を作ったら金メダルが取れますね。
子ども:それは無理〜
子ども:そういうことじゃない。
子ども:「じゆうちょう」に書いて努力したから金メダルが取れたんだよ。
教師:それじゃ、みんなも努力すればいいじゃないですか。
子ども:そんなに簡単じゃない。
子ども:努力って難しいんだよ。
教師:内村選手にとって努力は簡単だったのかな。
A児:イヤ、内村選手にとっても簡単ではなかったと思う。
B児:でも、お母さんの存在で頑張れたと思う。
C児:壁が出てきた時に、「じゆうちょう」で成功した時の楽しさを見つけようとして頑張ったんだと思う。
D児:そういう努力や経験を残した「じゆうちょう」だから意味があるんだよ。
教師:そうか、努力する楽しさや経験を残した「じゆうちょう」だから価値があるんだね。

この授業を次のようにストーリー型板書を行った。

少し説明を加えます。

まず、矢印で補助線を中央にかき内村選手の歩みを示します。
その後に、A児の発言を受けて挫折や困難を見えるようにします。
次に、B児やC児の発言で見えてきた努力の原動力を可視化していきます。
そうすることで、D児のような価値の本質が見えてくるのだと思います。

以上がストーリー型の板書です。
ポイントは、教材には直接描かれていない行間を引き出すように図式化していくことです。
そうすることで、偉人を「すごいから真似できない」と思わせるのではなく、「すごい人でも、私たちと同じように挫折や困難が合ったんだ」と身近な存在として捉えて考えることができるのだと思います。

次回は、教材の特性に合わせた○○型板書の3つ目「関係性型板書」について述べてまいります。
2週間後の8月7日(日)に投稿いたします。
よろしくお願いします。


いいなと思ったら応援しよう!