[Game][NintendoSwith] インディーズゲームの素晴らしさ Return of the Obra Dinn (オブラ・ディン号の帰港)
最近はそこそこ忙しいので昔のように熱心にゲームをすることは少なくなっている。シーズンまたは半年に1タイトル、週に何日か、寝る前1時間くらい、ちまちま楽しめれば十分だ。スマホとPCのゲームはやらないので家庭用ゲーム機のみだけ。
2019年の秋から冬にかけて、ちまちま遊んでクリアしたゲームが「Return of the Obra Dinn (オブラ・ディン号の帰港)」というゲームだ。僕はNintendoSwitchで遊んだが、PS4やPCなどさまざまなプラットフォームで遊ぶことができる。とても面白かった。
このゲームは小規模の会社が作っている「インディーズゲーム」と呼ばれるものだ。「Return of the Obra Dinn」は、なんと1人で制作されている。産業としての、そして創作活動としてのインディーズゲームの成り立ちは非常に興味深い。
ゲーム開発はファミコンくらいのころは小規模で制作できたが、スーパーファミコン、PlayStation,PlayStaion2,PlayStation3_Wii と家庭用ゲーム機の性能が上がるたびに大規模になり製作費も莫大になっていった。最新ゲーム機で最も人気を博した「グランドセフトオート5」の製作費とマーケティング費用は250億円にものぼる。しかし、お金をかけてもヒットしないことが多いエンターテインメントの世界なので、ヒットするかどうかは賭けになる。賭金の高騰に耐えられなくなった制作会社は撤退し、成功している会社も新しいチャレンジがしづらい状態になり続編が多くなる、という状態になっていった。
そんな状況に登場したのがスマートフォンゲーム市場だ。これまでの家庭用ゲームソフトは数年をかけて制作したソフトを数千円のパッケージソフトとして販売するというビジネスモデルだったが、スマートフォンゲームではゲームの途中でアイテムなどを購入してもらう「課金システム」というビジネスモデルになった。継続して課金してもらうことで家庭用ゲーム機のゲームよりも多くの売上と利益を得ているケースが多い。しかし、競争が激しいのでゲーム製作費はもちろん莫大なマーケティング費用が必要になっている。
家庭用ゲーム機、スマートフォンゲーム機、どちらも大規模開発になってしまったことで、初代PlayStationのころにあった「作家性」を重視する小気味のいいゲームが少なくなってしまっていた。そんなところに登場したのが「インディーズゲーム」と呼ばれるゲームたちだ。ダウンロード販売がメインのSteamのようなPCのプラットフォームで発売され人気になっていった。大規模開発では「作家性」を発揮できなかった実力のある開発者たちが思い思いの個性豊かなゲームをつくり販売した。最近ではPC,家庭用ゲーム機やスマートフォンなどの複数プラットフォームへの移植が簡単になったことで家庭用ゲーム機やスマートフォン・タブレットへも展開されている。中でもNintendo Switchは何故か他のプラットフォームにくらべて多く売れる傾向にあるため多数のインディーズゲームが集まっている。
最初にインディーズゲーム界隈の動きが面白いと感じたのは2009年に日本で発売されたWii版の「グーの惑星」というゲームを見た時だった。尊敬する任天堂社長(当時)の岩田さんがWiiで遊べるゲームを紹介する動画配信の中で、かなり力を入れて紹介していた。購入して遊んでみると面白く美しいゲームだった。この「グーの惑星」は2人で制作されている。かれらの会社はオフィスもなく、基本的に家でそれぞれに作るスタイルだった。そして、打ち合わせが必要なときはカフェなどを利用した。数年前に発売された「ヒューマン・リソース・マシン」というゲームも彼らの作品だ。ちなみにどちらもNintendoSwichで遊べる。
さて、「Return of the Obra Dinn (オブラ・ディン号の帰港)」だ。こちらは前記の通りたった1人で作られたゲームだ。アメリカ人の製作者だが、奥さんが日本人ということもあって日本に住み埼玉県で作っていたとのこと。
2019年のインディーゲームアワード「IGF Awards」第21回大賞を受賞している。
1807年、5年前に消息不明となった商船オブラ・ディン号が発見される。船体は傷つき乗員は誰もいない。東インド会社ロンドン本社所属の保険調査官である主人公はオブラ・ディン号でなにが起こったか調査を始める。
主人公は死体から、死の直前の様子を追体験できる能力を持っており、乗員乗客たちの直前の会話、映像、数枚の詳細なスケッチ、乗員乗客名簿(国籍・職務・性別)をつかって、60名の乗員乗客の安否と死因を突き止めることになる。
全部で十数章のシーンに分かれており、バラバラの時系列で物語(乗員乗客たちの死の直前のシーン)を読み進めることになる。ある者は乗客同士のいざこざで殺され、あるものは事故死、病死。また海の怪物に殺されることもある。
この人は詳細スケッチではインド人たちと一緒にいるのでインド人だろう。まだ特定できていないインド人は〇〇なので、おそらく〇〇なのだろう。
この人は士官の服装をしているので、士官のうちの誰かなのだろう
のような推理をして名前と死因と特定してゆく。
3名正解するごとに正解したことがアナウンスされるシステムになっている。つまり3名の名前と死因を特定しても正解アナウンスがない場合は誰か間違っているということになる。
モノトーンで昔のパソコンを思い出させるグラフィックは芸術性が高い。17世紀初頭の文化風俗の描写は良く調べられている。サウンドは臨場感に溢れ緊張感を高める。そして推理する過程はとてもスリリングだ。
PC、Nintendo Swich, PS4などさまざまなプラットフォームでできるので、自宅待機中に遊んでみるもいいと思う。
<追記 2021/03>
僕はゲーム関連の語り部(ライター)として、hamatsuさんが最高の人物だと思っているのですが、そんなhamatsuさんのレビュー記事がUPされました。すばらしい内容です。
<追記終わり>