
【雑記】ミーナの行進
すみません、少し前の話…2ヶ月くらい前の話なんですが、「ミーナの行進」がタイム誌で紹介されたことがありました。
私、早速に図書館で借りて読みました。で、投稿しようとしてそのままでした。

難しい本ではありませんので、すぐに読めると思います。もし、まだお読みでなかったらどうぞ一読をお勧め致します。
小説も絵画も音楽も、本質は同じだと思います。作者はある意図を持って作品を世に送り出す。受け手はその意図を汲み取って心を動かされることもあれば、意図は汲み取ったものの心を動かされることはないこともあり、また、意図とは別の何かに心を動かされることもあり、そして、残念ながら意図も汲み取れず心も動かされないこともある。そういうものだと思います。
私はこの作品を「朋子のミーナに対するエール」ひいては「作者からすべてのミーナ、今はうまくいかないことがあっても前を向いて頑張っている人へのエール」と受け取りました。
朋子が一人でミーナの家に預けられた短期間の話で、その間に様々なことが起きているのですが、話は淡々と進んでいきます。
ミーナは喘息を患っています。このため、小学校への徒歩20分の道のりがなかなかに困難なのです。坂道を自力で歩くのが難しい。家に車はあるが、排気ガスが発作の引き金になりかねない。そこで、家で飼っていたコビトカバの背に乗って通学します。
庶民の私などは「は?カバ?」と思ってしまいますが、カバです。カバのポチ子と飼育担当の小林さんが送迎するのです。引用します。
ミーナと小林さんとポチ子、彼らの行進は威風堂々としたものだった。ミーナは真っ直ぐに前を見据え、小林さんはしっかりと房を握り、ポチ子は一歩一歩坂道を踏みしめてゆく。門の前を掃いている人、阪急蘆屋川駅へ急ぐ人、同じ小学校へ通う子供たち、誰もが行進に出会うと立ち止まり、道を譲る。小林さんは目礼し、微妙な手綱さばきで方向を調節する。
「あらミーナちゃん、学校?」
近所の顔見知りのおばさんが声を掛けてくることもある。するとミーナはポチ子の背中から、
「おはようございます」
と、礼儀正しく挨拶をする。
ごく稀に、事情を知らない人が無遠慮な視線を投げ掛けてくることもあるが、彼らの行進はいささかも乱れない。ミーナはうつむかないし、ポチ子はただひたすら自分の務めに没頭するだけだ。
ミーナはうつむかないのです。これは、彼女が小学校へ通うために必要な手段だから。
そして、最終的には
次の年の夏、ローザおばあさんが静かに米田さんの後を追って旅立つと、ミーナは中学の卒業式を待たずにヨーロッパへ渡り、スイスの寄宿学校へ進学した。その後、フランクフルト大学で文学を学び、貿易会社や大使館に勤務したあと、三十五歳でケルンに出版エージェント会社を設立した。ヨーロッパと日本の文学作品の翻訳出版を、仲立ちする会社だった。ちょうど、阪神大震災の年だった。
その間、伯父さんの会社が大手の飲料メーカーに買収された時も、芦屋の屋敷が人手に渡った時も、日本には帰ってこなかった。
ポチ子に乗ってしか学校へ行けなかった少女が、今では私の知らない遠い場所を行進している。
と、ミーナちゃんは日本とヨーロッパの間を堂々と行進しているのです。
で、私がこれを投稿しようと思ったのは、ですね。上に引いた通り、中央公論社の2024年11月21日付のニュース・トピックスからタイム誌へリンクが張られているのですが、ここからタイム誌の紹介ページへ行くとこんな感じです。
英題が「ミーナのマッチ箱」なんですよ。そして、表紙の絵は、ミーナが鞍も首輪も手綱もなしにストンとカバに乗っている。
そうなんだ…と思いました。
だから自分の解釈を恥じることも他人の受け取り方をどうこう言うこともありませんが。…面白いなぁと思った次第です。
僭越かもしれませんが、私も世の中の全てのミーナちゃんにエールを贈りたいと思います。
皆様が幸せでありますように。
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