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未成年のアイドルを消費すること
私は最近、韓国の大手芸能事務所SMentertainmentのNCTというシステムにハマっている。詳しく書くと長くなるので気になった方は各自で調べていただきたい。
その中でもNCT DREAMというグループについて。
彼らのコンセプトは“成人したらグループを卒業する”である。
現メンバーの六人は00年〜02年生まれ。すごく若い。私のひとつ上が最年少だ。
2018年をもって最年長でリーダーのマーク(99生まれ)はNCT DREAMを卒業した。(NCT 127と兼任だった)
しかし、メンバーやファンの『卒業制度廃止』を希望する熱い想いが届き(会社の人間でもないから分からないけれど、DREAMが予想以上に人気になったことが大きいかもしれない)2020年4月14日、卒業したマークも含めた七人のNCT DREAMとして活動を続けることを発表。成人卒業制度は廃止された。
とりあえずはハッピーな方向に決まったわけなのだが、まあSMに思うことは色々ある。しかし、今回話したいのはそこではなくて……
初めてNCT DREAMの存在を知った時は「日本のアイドルは女の子ばかりが若く卒業していくから、男子でそれがあるのは面白くていいな」という感想だった。
その時は既に私はハロプロが好きだったし、メンバーが卒業することがどれだけ悲しいかは分かる。ジャニーズも好きだったからメンバーが卒業なんて嫌だ。
だけど女の子ばかり……という気持ちはあった。だから悲しいとかの感情は抜きにして、システムとしてはいいなと思ったのだ。ハロプロ同様に新メンバーを入れ、続いていくグループになったはずだったのだろう。それもおもしろいと思う。
でもいざハマってみると「やめて卒業なんて!マークも戻ってきて!」になる。もちろん予想はしていたけれど。
歳下に舐められながらも慕われ、まとめていたかわいい隊長マーク。ありがとう戻ってきてくれて。
……さて、私がDREAMにハマって衝撃だったのがコンセプトだ。
NCT DREAMの輝かしいデビュー曲『chewing gum』
サムネイルから分かるようにすごくかわいい。
デビュー当時の平均年齢は15歳である。
ジャニーズにハマっていた頃はジャニーズJr.が出演する、少年倶楽部を毎週見ていた。15歳よりももっと歳下の男の子たちが歌って踊っていたが、私の記憶では子供っぽい服を着てパフォーマンスしているのは見た事がない。微妙にサイズのあってないジャケット、ペラペラのベスト。でもデザインとしては大人のアイドルが着てもおかしくないものだった。
NCT DREAMはとにかく若さを売りにしている!ということが衝撃だった。特に『chewing gum』『We Young』はそれが強い。『chewing gum』ではカラフルな子供服のような衣装。『We Young』ではセーラー服。
どちらも短パン。
これは韓国アイドルに多くて、NCT DREAMのように幼い印象のあるメンバーを集めた訳では無いグループでも曲によっては短パンを履く。ジャニーズってあんまり短パン履かなくないですか?(記憶が薄れてる可能性もある…)
最初は衝撃を受けつつも、かわいい!と思った。
子供のうちに子供らしい格好をして、写真や動画に残すのはあとから振り返った時にとても良い思い出になると思う。
しかしその辺の活動期間のステージ映像をどんどん見ていくうちに、モヤモヤとした後ろめたさを感じるようになった。
未成年/期間限定/子供らしさ/中高生…
本人はどういう思いでこのコンセプトを受け入れているのだろう。
TwitterでNCTのファンのアカウントをフォローすると、ほとんどの人がNCT DREAMに対して「少年コンセプトはとても良い。しかし後ろめたさを感じる」と言っていた。(成人している方)
詳しく言えば「短パンすごくかわいい……逮捕」「未成年……自首します」みたいな。冗談ぽくしていても、心の中では未成年のアイドルを消費することに対して良くない部分もあると自覚しているのだ。
そしてふと考えた。彼らの衣装はしても半袖に短パンにショートソックス。そこまで露出があるわけでもない。
今まで好きだったハロプロ含む女の子のアイドルはどうか。
例えばモーニング娘。とNCT DREAMは同列には語ることは出来ないかもしれない。なぜならモーニング娘。は全員が未成年ではないからだ。だから揃えるために全員が同じ服を着るというのもわかる。
しかし日本の女性アイドルは若い。未成年でデビューし(そうじゃない子もいるだろうけど)、体に負担のかかるヒールを履いて、足もお腹も腕もデコルテも全てさらけ出してパフォーマンスをする。
しかしそれがスタンダードで、後ろめたさを感じていなかったのだ。
私はそれが怖かった。心のどこかで女の子はそれくらいの露出が普通と思っているのだ。
私がアイドルならMAMAMOOのファサのようなタイトで体のラインを強調し、肌を見せる服も着たいし、ムンビョルのようなジャケットにスラックススタイルもやりたい。
それぞれに好みがあるから、未成年は露出するな!なんて思わない。そういう服が着たい子だっている。
ただそれが“普通”で、アイドル全員が何も思わずに着てると思っていた事が怖かったのだ。
少し話が外れるかもしれないが、日本のアイドルの水着や下着の撮影は私はもっと考えていかなくてはいけないと考えている。正直、これに関しては本人がやりたいと言っても未成年の場合はやってほしくないと思ってしまう。(それもヲタクのエゴと言われたらそれまでなのだけど)
ジャニーズもハロプロも秋元系も。
モーニング娘。'20のメンバーであり、私の推しの佐藤優樹さんは以前ラジオで自身の水着撮影について語っていた。Twitterで話題になっていたので、ご存知の方もいるかもしれない。
佐藤優樹さん「私達が水着を出します、3000なん円ですってなっても、私達には7割も入ってこないとスタッフさんから言われたんです。(中略)そんな安いのは嫌。(水着になることを)軽々しく考えている脳みそをどうにかしたほうがいいんじゃないかなって思っちゃう」
「仕事なら私に1億8000万円欲しい。ヌードなら600億円必要」
メンバーである(放送当時)飯窪春菜さんは、佐藤さんから水着になることに抵抗はなかったか聞かれると、「恥ずかしかったよ嫌だったよ。だから私、水着は一着だけだったよ」と即答。同じく横山玲奈さんも「撮りましたけど、嫌ですね」と答えている。
さんまさんから「600億円も見んのお前の裸。そんな値打ちあんの?」と問われても、
「ひとりひとりみんなありますよ。さんまさんだってそうだし横やんだってそうだしスタッフさん全員に」
引用元:【https://www.google.co.jp/amp/s/news.careerconnection.jp/%3fp=67494&=1 】
私はこれを聞いた時に「私の推しは最高だ」と感動したと同時に、他のメンバーが水着撮影が嫌だったことがショックだった。ハロプロはメンバーの意思を尊重していると思い込んでいたのだ。
今考えても、NCT DREAMのかわいらしい衣装には「中高生でこれは嫌かもだなあ」と想像できたくせに、女の子のアイドルが水着の仕事をする時に本人の意思が反映されてると思い込んでたのが不思議で情けない。
私たちは未成年のアイドルを消費することに麻痺しすぎていないだろうか。
NCT DREAMの最年少で、2002年生まれのチソンくんはVライブ(インスタライブのようなもの)中にファンのコメントに対して『逮捕ポーズ』(手錠をかけられたポーズ)を度々する。
ファンの『チソン結婚して!』(これに関しては同い年の可能性は……と思ったけど笑)コメントを読んで、逮捕ポーズ。
『腹筋見せて』『(上の服の)チャック下ろして』逮捕ポーズ。
「ファンの皆さんは短パン好きですもんね」……逮捕ポーズ。
冗談半分かもしれないが、私達はそれを面白さだけ受け取ってはいけない。
チソンくんは以前「僕は一生腹筋を公開しません」と言っていた。ファンはチソンくんに対してそれをお願いしてはいけないと思う。
彼ら彼女は未成年だが、私たちに夢と勇気をくれる。本気で仕事に取り組んで全力のパフォーマンスをみせてくれる。しかし、だからといって全てを成人者と同じように消費していいのだろうか。後ろめたさを感じ、時には声を上げなくてはならない