鉄を多く含む代表格⁉『ひじき』の話
皆さん、こんにちは。
スポーツ栄養を専門に活動している管理栄養士の吉村俊亮です。
今回はいつもと内容を変えて食材の話をしたいと思います。
ひじきの鉄の含有量はそれほど多くない⁉
鉄を多く含む食材として、昔から知られている『ひじき』。
実は、数年前からひじきの鉄の含有量は見直されており、昔言われていたほど鉄はふくまれていません。
理由としては、ひじきの製造工程の変化にあり、昔は乾燥ひじきを作る過程で『鉄釜で炒る』という工程が含まれていました。しかし、現在では、鉄釜ではなく『ステンレス釜で炒る』という工程に変わっています。
つまり、ひじきに鉄が多く含まれているというのは、鉄釜で炒る工程によって、鉄釜の鉄がひじきに添加されていたのです。
現在はステンレス釜が主流ですので、鉄が添加されなくなったということなんです。。。
そもそも『ひじき』にはどれだけ鉄が含まれている?
ひじきには鉄が多いと言われていましたが、そもそもどれぐらい含まれているのでしょうか?
乾燥ひじき(鉄鍋) 58.2g/100g当たり
乾燥ひじき(ステンレス釜) 6.2g/100g当たり
鉄釜とステンレス釜で比べると、約10倍違います。
とてつもない差ですね。。。
では、ステンレス釜で炒った乾燥ひじきは、鉄が多い食材と比べてどれぐらいの含有量に違いがあるのでしょうか?
代表格のレバーと比較してみましょう。
乾燥ひじき(ステンレス釜) 6.2g/100g当たり
牛レバー 4.0g/100g当たり
豚レバー 13.0g/100g当たり
鶏レバー 9.0g/100g当たり
いかがでしょうか?
パッと見だと、あまり大差がないように感じます。
栄養素の含有量を考えるときのポイント
上記で示したように、ステンレス釜で炒った乾燥ひじきも他の鉄を多く含む食材と比べて大差ないように感じます。
しかし、栄養素の含有量を見るときは、頭に入れておかないといけないことがあります。
それは、1回の食事でどれだけの量を食べるのかということです。
乾燥ひじきは、調理前は乾燥しているので、調理の際は水で戻す必要があります。
ひじきの場合、水で戻すと重量が約8倍になります。
つまり、乾燥ひじきから6.2gの鉄を摂取するためには、800gのひじきを食べないといけないことになります。通常、ひじきは副菜として小鉢で出てくることが多い食材ですので、1回で食べる乾燥ひじきの量は大さじ1(約3g)になり、水に戻すと24g程度です。鉄の含有量で言うと、約0.2gになります。
そう考えると、ひじきから6.2gの鉄を摂ることは現実的ではなく、そもそも別の食材を摂取したほうが効率よく鉄を補うことができます。
食材に含まれている栄養素の含有量は、産地でも異なりますし、数年に1度変更されています。
ひじき以外にも、栄養素が大きく変更されている食材もちらほらとありますので、またこのnote内で紹介していきたいと思います。