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もしもの時の食事~怪我からの早期回復に必要なもの~

皆さん、こんにちは。

スポーツ栄養を専門に活動している管理栄養士の吉村俊亮です。


今年は日本のJリーグなどもコロナの影響で開幕が遅くなったため、例年ではないような試合スケジュールになっていることもあり、怪我のリスクが非常に高くなる年でもあります。

スポーツをしていると、切っても切り離せない問題でもあるので、予防をすることが第一ですが、やはり怪我をするときは少なからずあります。

今日は怪我をしてしまったときに、どのような食事をすると良いのかについて書いていきたいと思います。


怪我の原因や種類は様々あり、軽度のものから重度のものまであります。
現役の選手であれば、ほとんどの選手が大小関わらず怪我を経験しているかと思います。
今まで怪我をしたことがない選手も、これから先の競技人生の中で怪我をするかもしれません。
もしそのような状況に立たされたとき、選手が競技に早期復帰できるようにどのような食事を摂ればよいのか参考になれば幸いです。

体を構成している栄養素

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栄養素には五大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルがあります。体はこのすべての栄養素を使い様々な新陳代謝を行っていますが、主に体を構成している栄養素はたんぱく質、脂質、ミネラルになります。
たんぱく質は、筋肉や骨、髪、爪、結合組織などを構成しています。皆さんも聞いたことのあるコラーゲンもたんぱく質です。
脂質は体脂肪、ミネラルは主に骨や歯などを構成しており、そのほとんどがカルシウムになります。
アスリートの怪我で多く長期離脱を強いられるものは、筋肉系の怪我と骨の怪我です。
怪我の種類も様々あり、野球のようなあまり接触プレーのない競技では、何度も同じような動作を繰り返すことによるストレスでの怪我が特徴的です。また、サッカーやラグビーのような接触プレーが多い競技では、打撲や骨折から肉離れ、靭帯損傷など多種多様な怪我があります。

運動量の低下における体脂肪の増加を防ぐ

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試合や練習で怪我をしてしまった場合、選手は当然チームの練習から離れて、リハビリメニューになります。リハビリメニューになると、今までのチームでの練習と比べて練習量が落ちてしまう為、1日に消費するエネルギー量が通常時よりも減ってしまいます。
しかし、怪我をしたからといって食欲も落ちるかというと、そういったことはあまりありません(離脱によるメンタル面の影響で食欲が落ちるケースはあります)。
運動量が減っても、食事量が変わらない選手のほうが多いかと思います。そういった場合、一番気を付けなければいけないのが体脂肪の増加です。リハビリ期間が長ければ長いほど体脂肪増加のリスクが上がります。
では、どのようにすればよいかというと、単純に食事や間食からの摂取エネルギー量を減らしていけば大丈夫です。
どれぐらい減らせばよいかは個人によって異なるため、毎日決まった時間での体重・体脂肪の測定を行い、1日ごとに結果を見るのではなく、1週間ごとに体重・体脂肪の平均をとることで、数値を点で見るのではなく、ある程度の線で見るようにしていきます。この方法だと、日々の数値の変化に一喜一憂せずに、わりと正確に自分の体の変化を見ることができます。
もし、1週間単位で見ても体重・体脂肪が増加傾向にあるのであれば、摂取量が多いことになります。その場合は、極端にエネルギー制限をするのではなく、ご飯を2杯食べていたのであれば1杯にする、間食を摂っていたのであれば間食の量を1/2もしくは無くすようにするなど少しずつ調整をし、体重を維持できるように数値と照らし合わせながら食事量を調整してください。
また、摂取エネルギーを調整する場合、まず初めに間食を減らすことを考えると良いかと思います。食事から摂れる栄養と間食から摂れる栄養では、基本的に食事からの栄養の方がバランス良く取れるからです。

ケガの修復に必要な栄養素

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上記でも説明したように、アスリートの怪我で長期離脱を余儀なくされるものは筋肉系の怪我と骨の怪我です。
怪我をしているときの食事では、いち早く組織の回復ができるようにその組織の構成に必要な栄養素を補う必要があります。
筋肉の場合はたんぱく質、骨の場合はたんぱく質とカルシウム、ビタミンDです。
怪我の時期の食事では、これらの栄養素が不足しないように心がけます。
しかし、これらの栄養素を摂取するときに注意しなければいけないことは、同時に脂質の摂取量も上がりやすくなるということです。
ですので、たんぱく質であれば、なるべく脂質の少ない部位の肉を摂るようにしたり、皮が付いていれば皮を剥ぐなどして脂質のカットをしていくと良いです。カルシウムの場合は乳製品や小魚などが摂取源になるため、特に脂質も多く含む乳製品の場合は、普通牛乳であれば低脂肪乳に代えるなどすることで、脂質をカットしつつカルシウムをしっかりと補えるようにすると良いです。
脂質については、摂り過ぎは体脂肪増加の原因になりますが、細胞の膜を構成するものでもあるため、摂らな過ぎるとそれはそれで問題になります。
また、たんぱく質の過剰摂取も体脂肪増加の原因になります。ですので、怪我の時期に食事がきちんと摂れているのであれば、追加でプロテインサプリメントを摂る必要はありません。

また、怪我の時期に上記の栄養だけをしっかり摂っていれば良いかというと、そうでもありません。
たんぱく質の他に、ビタミンやミネラルは調整素と言って、主に生体内での化学反応を調節するものでもあります。
そのため、ビタミンやミネラルが不足すると、摂取した栄養素を上手く代謝することができずに早期回復に繋がりません。
余分なエネルギーを摂取せずにビタミンやミネラルを補える野菜などをしっかりと摂取することも怪我の時期では大切なことになります。

おすすめ食品

怪我の時期に食べてもらいたいおすすめ食品は、基本的にはたんぱく質を多く含む食品です。特に、動物性の食品になると、ビタミンもしっかりと含まれており、同じ重量の野菜と比べてもビタミンの含有量が多かったりもします。
しかし、上述した通り、たんぱく質を多く含む食品をたくさん食べると、脂質も多く摂ることになってしまうため、それはある程度で抑えなければいけません。
そんなときにオススメなのは、鶏ささみや脂身の付いていない赤身のお肉です。また、鶏ささみ以外の鶏肉でも、皮が付いている肉であれば皮を剥げば余分な脂質をカットできます。
もちろん、肉ばかりではなく魚や大豆などからもたんぱく質は摂れ、一緒に含まれている栄養素のバランスなども異なるため、上記に書いた肉などに偏ってしまうと栄養バランスが崩れて逆に体の調子を悪くしてしまう原因にもなるため、意識的に摂る程度で、基本的には万遍なく様々な食品を摂ることが大切です。

まとめ


怪我からの早期回復には、休息とリハビリ、そして食事のバランスがとても重要になります。食事をしっかり摂ったからといって、他の2つもしくは1つが疎かになってしまっては意味がありません。早期回復に向けて、全体的なケアが大切になります。
今回の記事では、細かい数値などは個人差が大きくなる時期でもあるため記載を控えていますが、体重・体脂肪の管理をしっかりと行えば基本的に間違った食事のサポートにはならないかと思います。
自分の体を数値で客観的に見ることで、怪我からの早期回復、そして復帰後のコンディション作りに活かして頂けると幸いです。