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「スポーツ」を永続させるモデルを作るということ

「日本ではスポーツを支える人達が食える仕組みになっていない!」

残念ながら、一部のプロスポーツを除いて、今の日本のスポーツ界では、トレーナーを含めた裏方が報われる「仕組み」が存在していません。

日本では多くのアスリートが専業で食っていけていないわけですから、そのアスリートを支える人達は、もっと大変な状況に置かれているわけです。

私はもともと高校生の頃から怪我に悩んでいたこともあり、アスリートを支えるトレーナー(アスレティックトレーナー)に興味を持っていました。

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大学でも運動生理学やバイオメカニクスといった専門領域を学び、わざわざ「治療行為ができるように」と鍼灸マッサージの専門学校にも通っていたほどです。

当時はとにかく「スポーツの現場」で仕事をすることが目標でした。

ただ、トレーナーとしてのキャリアを積む中で、私自身がアスリートをサポートすることよりも、「アスリートをサポートしたい人を何とか支えることができないか?」という想いに変わっていきました。

なぜなら、私の目にはアスリートよりもトレーナーを含めたアスリートを支える人達の方が苦労しているように見えたからです。もちろん、私自身もその内の一人だったわけですが・・・。

ただ、実際はトレーナーの方が「潰しが効く」かもしれません。サポートする対象は、必ずしもアスリートではなくてもいいわけですから。

とは言え、スポーツの現場で仕事をしていくことですら狭き門なのに、スポーツだけでは食ってはいけない、ボランティアで仕事をすることもある環境って・・・。

これから「スポーツの現場でアスリートをサポートしたい!」

という若者に、

「実際はスポーツの現場だけで仕事ができている人は、ほとんどいないんだよ・・・」

と言わざるをえない状況は、ものすごく悲しいわけです。

だから私は、「トレーナーの社会的地位を上げるにはどうすればいいのか?」という視点で、次にトレーナーの教育事業に目を向けます。

2013年の話です。

ただ、実際にやっていて気づいたのは、いくらトレーナーという狭い業界の中で試行錯誤しようとも、そもそも「日本ではスポーツがビジネスとして機能していない」以上、それを支える人達が報われることはないということです。

トレーナーとしてのスキルや知識、経験値が上がっても、残念ながらそれらを活かせる場所がほとんどない。

実際に、私がトレーナーを志してから20年が経とうとしていますが、状況は変わっていません。

問題は、ほとんどのスポーツで「自分たちで稼ぐ」という概念がないこと。

日本のスポーツは、ほぼ「税金」で成り立っています。オリンピックは、その最たるものです。

中学、高校、大学の部活動も基本的に自分たちでお金を出して、活動をしています。

これらが「当たり前」になっているわけです。

中には「いやいやプロスポーツじゃないとお客さんは観にきてくれないから、自分達で稼ぐなんて無理ですよ!」と言う人がいるかもしれません。

ですが、そうじゃない。

プロだから試合を観に来る人が沢山いるんじゃなくて、観にくる人が沢山いるから、プロスポーツへの道が選択肢の一つとして見えてくるのではないでしょうか?

とは言うものの、当時の私にはスポーツで稼ぐ力もアイデアもありませんでした。

だから、まずは自分自身がスポーツ領域でビジネスの仕組みを作るため、2015年にランナーズNEXTというWebメディアを仲間と立ち上げ、オンラインの事業を中心に試行錯誤しているとことです。

スポーツ医科学分野も海外(特にアメリカ)に比べると、日本は大きく遅れを取っていると言っていいでしょう。

だから、ランナーの皆さんに価値を提供しつつも、海外の情報やコンテンツを踏まえて、日本のランニング界をアップデートすることを目標に、日々事業活動を行っているつもりです。

特にマーケティングの領域には力を入れていて、「良いモノやコト」を広めていくために、日々試行錯誤しています。

ただ、ある時ふと気づいたのは、私たちはランナーに対して、幾ばくかの価値を提供しているとは思っているものの、「マラソンやトレイルランニングといった競技そのもの」には、あまり貢献できていないということです。

つまり、マラソンやトレイルランニングのアスリートが食っていける環境作りのプロセスを我々の事業は担っているのか?と言われると、決してそうではない・・・。

そんな悶々とした日々を送っていたところに、「新型コロナ」がやってきました。

今まさに世界的に大きな(悪)影響、猛威を振るっています。例外なく、私自身にも大きな影響を与えているわけです。

ただ、全ての事業活動がオンラインにシフトしたことで、「考える時間」を確保することができたことは唯一のプラスかもしれません。

特に競技スポーツはコロナ禍の影響で、全く先が見えない状況です。

この先、今までと同じようにスポーツ観戦ができないかもしれませんし、大規模なマラソン大会も規模を縮小せざるを得ない・・・そんな可能性だって大いに考えられます。

多くのマイナス要素ばかりが考えられる中で、今後もスポーツの領域でビジネスをし続けることはリスクかもしれません。

大規模なマラソン大会や満員のスタジアムで野球やサッカーなどのスポーツを観戦することはなくなるかもしれません。

それでも、「スポーツには価値がある」と思っています。

健康的な価値はもちろん、教育的な価値だってあります。

そして、経済的な価値だってあると思っているし、同時にテコ入れしていかなければならない領域です。

観戦スタイルや参加スタイルは変わっていくかもしれませんが、その中で自分が何ができるのか?

「良いモノやコト」を広めていくための情報発信であったり、広い意味ではマーケティング活動です。

日本のスポーツをビジネスとして機能させていくには?

という問いに対して向き合い、これまでに経験してきたことを踏まえて、また新たなステージでチャレンジしていきたいと思っています。



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浦中 宏典(Hironori Uranaka)
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