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庁内のDX化をUdemyの学びで進める!目標を高く設定しすぎないことが学び続けるコツ|佐賀県でのUdemy活用事例

佐賀県では、デジタルリテラシー向上を目的として、令和5年より行政デジタル推進課内が主体としてUdemy Business(以下、Udemy)の利用を開始しました。

実際にUdemyを利用している小形貴志さんに、お話を伺いました。

【話し手】(2024年2月取材当時)
唐津県税事務所課税課 主任主査
小形 貴志(おがた たかし)さん
2008年、佐賀県庁に入庁。港湾課、市町支援課、佐賀県税事務所、行政デジタル推進課などを経て、2023年より現職。


業務を改善したいという課題感からDXチームへの参加を決意する

―はじめに、小形さんが担当しているお仕事について教えてください。

現在は、県税事務所にて新増築された建物を調査して固定資産税、不動産取得税等の基となる価格を決定する「家屋評価業務」を担当しています。
昨年10月までは、行政デジタル推進課に在籍しておりました。

また、通常業務とは別に庁内有志で構成された「DX若手チーム」「働き方改革若手チーム」というプロジェクトに参加していました。これらのプロジェクトは、庁内で少子高齢化時代を見据えたときに「働き方の転換をしなきゃいけない、DXを推進する人材育成の仕組みが必要ではないか」と公募が行われたものです。

業務改善や働き方改革をより主体的に行っていこうと思い、チームへの参加を決めました。

Udemyで得た知識やスキルで、幅広い視点を持てたのは大きな収穫

―Udemyを活用することになった背景を教えてください。

実は、以前から個人的にUdemyを利用していました。

令和2年に行政デジタル推進課への異動があった際に、ITはまったくの未経験だったので、知識獲得のためIPAが主催している「情報処理技術者試験」の学習を開始し、その中でUdemyを利用し始めました。

Udemyには多種多様な講座があり、デジタルリテラシー向上につながる点や、通勤時間や昼休みなどに手軽に学べるメリットを職場に提案したところ、行政デジタル推進課内でもUdemyの利用を開始することになりました。

―Udemyではどのような講座を受講されていますか?

今後、庁内業務のDXを推進していきたいと個人的に考えており、DXの知識獲得やプロジェクトを進めていく上で重要となる、プロジェクトマネジメントスキルを高めていきたいと考えています。

そこで、「BPR入門講座」や「プロマネが教える」シリーズ、「DX実践講座-業務改革編」などの講座を受講しました。

▼小形さんが受講した講座はこちら

Udemyは講座が豊富!専門知識を深めるだけではなく幅広く学ぶのにも向いている

―Udemyの中で特に役に立ったことを教えてください。

プロジェクトマネージャ試験を受ける際に必須となる「PMBOK*注」というフレームワークがあるのですが、書籍では数百ページある内容を2、3時間でコンパクトに解説してくれている講座は、受験時にたいへん役立ちました。

Udemyの講座は、倍速で見たり通勤時にスマホで聞いたりと、何度も繰り返し視聴できるのもありがたい点ですね。繰り返し学習できるので、理解度も定着度も上がってくるという実感ができます。

注: PMBOK(Project Management Body of Knowledge)は、アメリカにある非営利団体PMIによってまとめられた、プロジェクトマネジメントに関する知識体系のガイドブック。

―Udemyを利用してよかった点はありますか?

講座の豊富さと情報の新しさですね。「ジェネレーティブAI入門」という講座を久しぶりに見直したのですが、新しいトピックがタイムリーに追加されていました。これはUdemyならではの良さだと感じています。

業務に関してはOJTで学べる部分にも限界があると思いますので、そこを補う意味でも、Udemyの利用は意味のあるものだと思います。少しでも興味のある言葉を検索すると数多くの講座が表示されるので、幅広く知識を得るのにも向いていると感じますね。

―Udemyで学んだ内容は普段の業務にどう役立ちましたか?

講座の内容を具体的に実践したというよりも、学びの中で広い視点を持てたのが自分としては収穫です。たとえば、メールのデータをExcelに転記する作業があったのですが、それをUdemyで学んだノーコードツールを使い効率化するといった、些細ですが成功体験のアウトプットができました。

また、その転記作業に苦しんできた職員にノーコードツールでの効率化を共有したところ、たいへん感謝されました。「ITの専門家でもない自分の学びが誰かの役に立てるんだ」と実感できたのは大きいですね。Udemyで学んだことを、教える側としてアウトプットして感謝されるのは、自身のモチベーションにつながるものだと実感しています。

Udemyでは「学習する時間を作ろう」としなくても、すき間時間で学べる

―学びを続けるための工夫はありますか?

学びを続けるためには「学習する時間を作ろう」と思わないことが大事だと考えています。

私も家族のある立場なので、たとえば夜に何時間も集中して机に向かうのは、どうしても難しい部分があります。そこで、机に向かって勉強するという考え方を変えて、スマホで動画を見る時間を学習に充てるようにしました。勉強や学びに対する意識を変え、もっとハードルを下げてとにかく継続しようというスタイルにしています

Udemyは1コマ5分から10分程度で学べるので、時間がないというのは言い訳にしかならないと思っています。最初は意識的に視聴しなければなりませんが、習慣化するとちょっとした空き時間に何もしていないのがもったいないと感じられるようになるものです。5分の空き時間に1コマ講座を見られたら、学習は前進している。そういった考え方を持てるようになったのは、Udemyを使い始めて学びへの意識が大きく変わった部分だと思っています。

―今後学んでいきたいジャンルはありますか?

DXを実行するにあたって、そもそも何のためにやるのか。自分の中では腹落ちしているつもりなのですが、まだ多くの成功体験があるわけではないので、他人に説明するのが難しいです。データ分析やEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)に基づき、より実効性の高い政策を立案すること)というのは、説明時のキーワードとして説得力や具体性を持たせるには必要だと感じているので、そのあたりを今後は集中して取り組みたいと考えています。

庁内のDXを主導する「DXエバンジェリスト」を目指したい

―自治体でDX化に取り組むにあたって、今後の展望を教えてください。

一部の部署が主体的に取り組んでいるだけではDX化は進まないと考えています。DX実現のためには特定のセクションに任せるのではなく、それぞれの担当課自身がDXを「自分ごと化」することが重要です。そのために職員一人一人がデジタルリテラシーを身につけて、現在の業務の進め方に疑問を持つべきだと考えています。

かつての読み書きそろばんから、Word・Excel・メールになり、さらには生成AIやノーコードツールなどが次々と出てくる中で、今後、より仕事のやり方が変わっていくのは間違いありません。そこを流れに身を任せるだけではなく、何のためにそれらを使うのか、何を実現したいのかを日頃から考える癖をつけておきたいところです。

佐賀県でも「デジタルパートナー制度」という、ツールの使い方や業務改善に伴走支援する取り組みをおこなっています。現在は行政デジタル推進課の数名で対応していますが、今後さらにDX(業務改善)を推進していくためには、こういった支援のできる人材をもっと増やしていく必要があると考えています。

自分自身もまずは現職場の県税事務所でDXを実現させ、その後は庁内のDXを主導する「DXエバンジェリスト(伝道師)」として幅を広げていきたいです。