県内企業のDX実現をあらゆる面からバックアップ|学びと支援をミックスした和歌山県独自のDX推進
和歌山県では、「わかやまデジタル革命推進プロジェクト」として県内企業のDX化を推進しています。
その中で、県内事業者のマーケティング活動のデジタル化を支援するデジタルマーケティング講習にて、Udemy Business(以下、Udemy)をご活用いただいています。
今回は、プロジェクト開始前の課題とUdemy利用者の声、今後の展望についてお聞きしました。
「わかやまデジタル革命推進プロジェクト」とは
和歌山県では、デジタル化が進む現代において「DXを実現しなければならない」という考えのもと、令和4年度の新政策として「DX和歌山」の推進を掲げました。
産業・行政・教育の3つの分野があり、産業のDXを実現する取組が「わかやまデジタル革命推進プロジェクト」です。
このプロジェクトは、以下の4つのフェーズで取り組んでいます。
以上より、県内事業者のDX実現を一貫して支援していくという内容です。
これらの活動を通して感じるのは、コロナ禍をきっかけに県内事業者のデジタル化への感度がかなり高くなったということです。
デジタル技術の活用が避けられない中で、単に補助金を出すだけでなく、デジタル技術を効果的に活用するための学びの機会も提供することで、事業者を総合的にサポートするのが今回のプロジェクトの狙いです。
様々なステークホルダーと協働で事業者を支援
「わかやまデジタル革命推進プロジェクト」は、当初から支援機関とともに実施することにこだわってきました。
県内に約4万社の企業がある中で、全社にデジタルの必要性を認識していただこうと考えると、普段県庁の支援策を利用くださっている事業者だけでなく、さらに広い範囲の事業者に対するアプローチを考えなくてはなりません。
商工会議所や商工会といった、地元の事業者と日頃から関わっている支援機関や、地元の金融機関などとも連携を取りながらプロジェクトを進めています。
その甲斐あって、プロジェクトへの集客はほぼ想定通りでした。
講習も想定以上に受講者が集まり、参加者の皆さんにはフル活用いただいていると感じます。
和歌山県は製造業が盛んで、その内訳も食品加工や繊維、機械・金属加工、化学、日用品など多種多様です。
そのため、プロジェクトの利用者も製造業が多くなっていますが、卸売・小売業や宿泊業など幅広い業種の方々に利用いただいています。
デジタル経営診断を活用して企業の課題点を正確に把握
プロジェクトの特徴的な取組の一つに「デジタル経営診断」があります。
これは6カテゴリー全30項目の設問への回答をもとに、企業のデジタル経営の現状を5段階で評価するものです。
理想的なDXを実現するためには、まずは今の状態をしっかり把握し整理する必要があると考えて、プロジェクトにこの診断を取り入れています。
1年間で1000社の診断をするのが当初の目標でしたが、2023年2月末時点ですでに1500社に受診いただきました。
また、2022年度の診断結果を試験的に実施した前年度と比較したところ、中規模な事業者(従業員数30人~100人未満)において、課題となっていたデジタルマーケティングのスコアが改善したという結果も見え始めています。
講座の質・量ともに信頼できる点がUdemy導入の決め手
デジタルマーケティング講習を始めたのは、コロナ禍がきっかけです。
製造業では、従来は展示会に出店して商談・契約につなげていたところを、コロナ禍によって展示会の中止・来場者の減少に直面して販路の確保が難しくなりました。
その打開策としてECサイトの立ち上げを検討する企業が多く、行政としても令和3年度にサイト改修を促進するための補助金も実施しました。
ただ、サイトの環境は整ってもしっかり運用しなければ売り上げは伸びません。
サイト運用を行って販売につなげる技術も必要だと感じ、Udemyを活用したデジタルマーケティング講習を開講しました。
今回の講習では、時間を有効活用しながら学べるようにしたい、という点を重視しました。
とはいえ、一人で黙々と進めるオンライン講座は、途中で挫折してしまう可能性もあります。
そこで、和歌山県では「双方向型講習(オンライン集合研修)※」の機会を設け、学びのペースメイキングを図っています。
普段は受講者がそれぞれオンライン学習を進めながら、定期的に開催される双方向型講習で疑問などを解決し、学習内容の理解を深めます。
デジタルマーケティング講習の最終的なゴールは、県内事業者のマーケティング活動のデジタル化、ひいては事業者のDX実現です。
そのため、デジタルマーケティングの周辺領域であるウェブ解析やSNSなど、幅広い講座の中から自社に必要な内容・学びたいものを受講者が選べる方がいいと考えました。
講習の決定にあたり、外部の有識者を交えて審査会を開催したところ、Udemyであれば、デジタルマーケティングにおける受講者の多様なニーズに柔軟に応じられることや講座の質の高さが高く評価され、導入することになりました。
★企業DXワンポイント事例
双方向型講習の活用で学習効果アップ
2022年度に実施している双方向型講習は、「他の受講者と顔を合わせながら学べる」と大変好評です。
もともとは学習が滞るのを防止したいと考えて開始したのですが、双方向で学ぶ機会があることで受講者の理解が促され、学習効果が高まっていると感じます。
また、「他の業界で働く受講者と一緒に学ぶことで新しい発見があり、今後に生かせそうだ」という前向きな意見も多くいただいています。
県内企業で働く人材のデジタルスキルを強化し、DX実現を促進
DXの実現は、短期間で達成できるものではないと思います。
デジタル技術を使って競争優位性を確立するまでを視野に入れれば、相当時間がかかるのは当然のことです。
そのため、和歌山県としては少なくとも3年間は県内企業のDX実現を促進する取組を継続して実施したいと考えています。
今後の課題を挙げるとすれば、デジタルスキルのさらなる強化とビジネスモデル変革の促進です。
昨今は、日常業務や販売促進・新規事業の創出など、あらゆる場面でデジタルスキルを活かすことが求められます。
それらの部分でステップアップできる講座を提供し、DXの実現を支援する必要があると思います。
また、スキルの見える化が実現して初めて、人材の採用計画や受けるべき講習も決定できます。
「従業員の方々がどのようなデジタルスキルをどの程度有しているか」を把握することにも取り組みたいと考えています。
※インタビューにお答えいただいた担当者様の肩書き・所属・業務内容等は取材当時のものです。