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人材育成方針に基づき全職員向けにDX研修を提供~細かな参加者フォローで「Udemy」活用率98%~

三重県では2022年度からDX人材育成方針に基づき、DX推進スペシャリスト、デジタル活用推進員、全職員の3つのカテゴリーに分けた職員研修を実施。研修の一部として、昨年度からUdemy Business(以下、Udemy)をe-ラーニングとして活用しています。

今回は、Udemyを含めた研修の学習促進支援などに取り組むデジタル社会推進局の事例についてご紹介いたします。

三重県のDX人材育成システム

三重県のDX人材育成では、「①知識の提供」 「②学習環境の整備」「③対話の重視」という3つの観点に重きを置いて取り組んでおり、階層別研修から業務別・専門研修までさまざまな研修を実施しています。

階層別研修対象職員(新規採用職員を除く)やDX推進スペシャリストなどに向けて、庁内で準備している研修に加えてe-ラーニングも活用しています。
集合研修では実施できない、職員それぞれがもつ課題に対して自立的に学習できる機会を提供しています。

Udemyの活用とフォロー方法

■参加者募集時の取組

オンライン動画サービス導入のタイミングにおいては、そもそも「Udemy Business」とはどういうサービスなのか、から職員に説明していく必要があります。

特に意識していたことは、職員の方々にわかりやすくツールの利用方法を伝えていくことです。
学習を進める職員がどういったコンテンツを求めているのか、どうすれば学びやすくなるのかを常に検討しました。

応募形式で庁内から募集をするときは、通知文のみで興味をもってもらう必要があるため、通知文の中にわかりやすい紹介文や、できるだけ多くの講座を紹介するようにしました。

庁内のイントラページにもおすすめの講座や受講のための手続き、活用のヒントを紹介した「News Letter」を掲載
それぞれの課で関心のあるテーマが異なっているので、デジタルマーケティングやプロジェクトマネジメントなど具体的な講座名で関心をひき、最終的には想定を超える応募数になりました。

■受講者への支援

ツールの導入タイミングにおいては、最初の登録から実際に利用するまでのハードルが高く、活用が進まない傾向があります。
そこで、受講登録から実際に学習を始めるところまで、必要に応じてハンズオンなどで登録の補助をしたり、必要なマニュアルなどを提供しました。

全体で実施する受講者説明会のあとには、個別で受講登録の仕方を説明し、つまずきやすいポイントなどをNews Letterやイントラページに掲載しました。

また、最初は登録をして最低でも5分以上視聴するまでの期限を決め運用を開始。
期限内に受講を完了していない職員に対しては、個別に声かけをしました。

短時間で自分の求めている講座を見つけられないという職員の声を受け、県独自で「三重県職員人気講座TOP10」や「1時間未満で受講可能♪ショート講座」などの学習カテゴリーを設定し、学びたい内容や職員のニーズに合ったものを可能な限り提案するようにしました。

DX推進スペシャリストなど一部の対象者を中心にビジネスチャットを利用して個別のチャンネルを作成し、交流・対話の場を持ち、アウトプットをしやすい環境の構築をめざしています。

三重県独自の学習カテゴリーの例


受講した職員の声

実際に2021年度に実施したUdemyでの研修実施後の調査では、参加した8割以上の職員から、DXおよびデジタル技術に関する理解が進んだという回答を得ています。

職員からは「DXについての学び方がわかった」、「利用可能なデジタル技術がわかった」といったコメントをいただきました。
また、「部門や職員によるデジタル知識の差異があっても話を進めることが できるようになった」というコメントもあり、研修の大きな成果であったと思っています。

研修などを通して、コミュニケーションツールやオンラインミーティングツールなどの新しいツールを利用するだけでも、庁内改革や職員の意識改革の一助になっているのではないかと感じています。

今後のDX研修について

DXを推進するためには知識はもちろん必要ですが、その知識を習得できる環境がなければ学習しようと思わないと思います。
学習環境の整備とともに、学んだことを振り返れるような内省のための対話の場を提供することや、研修を通じて習得したスキルを活かし、活躍できる場を庁内に増やし ていく必要があると考えています。

自治体の研修は委託ベースで進んでしまうことが多いのですが、どんなツールも導入後から実際に活用し続けられるようになるまで、職員の状況やニーズを把握する必要があります。

しっかりフォローすることで、より効果的な研修を提供できると考えています。
職員のニーズに応えていく」 という発想で、学習を続けていける三重県をめざしていきます。

★庁内DXワンポイント事例★

三重県独自のDX講座を提供

一人でも多くの職員がDXについての理解を深め、身近に感じるためには、県を取り巻く状況やめざすべき方向などを踏まえた動画を作成する必要があると考え、職員自らがDX等について解説する動画を作成し、Udemy上で公開しています。

また、今年度から情報基盤を刷新することを踏まえ、庁内システムがどのように変わるのか、それにより県庁での働き方がどのように変わっていくのか、丁寧に情報発信をする必要があるため、新たに独自講座を作成し、必須講座として提供する予定です。

【三重県の取り組みについての動画事例はこちら】

※こちらの記事は2022年9月に発刊した行政DX通信vol.4を基に、一部内容を補足した記事になります。