見出し画像

鳥取県内の企業と求職者のリスキリングにUdemyを活用|豊富な分野を網羅した学習環境を提供し、自ら学ぶ人材を増やす

鳥取県庁が2021年度から開始した「オンライン学習受講促進事業」では、Udemy Business(以下、Udemy)を活用して、県内企業や求職者へオンライン学習の機会を提供しています。
Udemy導入前に抱えていた課題や受講者の声、今後の展望について、鳥取県商工労働部 雇用人材局産業人材課 未来創造人材室の岸本様と田中様にお聞きしました。

鳥取県が推進する「オンライン学習受講促進事業」とは

岸本:2021年度から実施している「オンライン学習受講促進事業」では、新型コロナ感染症の影響を受けた県内企業や求職者などの学習ニーズに応えるため、オンラインでの学習機会を提供しています。

コロナ禍をきっかけに、社会ではデジタル技術がますます重視されるようになりました。
企業がDXを実現するためには、DXの概念を正しく理解し、組織の中心となって推進する人物の存在は欠かせません。
Udemyを通じたデジタルスキルの学びによって、県内企業の業態転換や求職者のリスキリング(※)を支援するのが事業の主な目的です。

※リスキリングとは:「再教育・能力の再開発」を意味し、新しい知識・スキルを学んで技術革新やビジネスモデルの変化に柔軟に対応する人材を育成すること。

出典:リスキリングとは ―DX時代の人材戦略と世界の潮流―(リクルートワークス研究所)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_jinzai/pdf/002_02_02.pdf

幅広いデジタルスキルを研修に落とし込む難しさ…オンライン学習導入前の課題

田中:私の所属する未来創造人材室は、これまで職業訓練や企業向けの様々な研修を企画・実施してきた部署です。
従来は集合型の研修が主な開催形式でしたが、コロナ禍の影響で受講者に集まってもらうことが難しくなってしまいました。

それでも学びの提供を止めることなく、企業や求職者が求めるニーズに応えるにはどうすればいいかと考えたとき、オンライン学習が選択肢として浮上しました。

また、これからの社会で求められる多様なデジタルスキルについて、どうやって研修を組み立てていくかも課題の一つでした。
DXは幅広い概念であり、その一つひとつを私たちの部署で研修として自主企画することに難しさを感じていました。
それならば、豊富なコンテンツが最初からそろっている学習プラットフォームを活用するのが有効ではないかと考えました。

岸本:地方に住んでいても都会と同じように学べる点で、オンラインの学習コンテンツは非常に大きな魅力を持っていると感じます。
今までの研修では会場へ足を運んでもらうことが必要で、受講者の皆さんが研修に割く時間も大きな負担でした。
オンラインだと仕事の合間やスキマ時間で工夫しながら受講できるのが、非常に利便性が高いですね。

鳥取県は人口最小県ですので、企業にも少ない人数で様々なことにチャレンジする姿勢が求められます。
忙しい社員の皆さんも柔軟に学べるオンライン学習ツールを使いながら、ぜひスキルアップを目指していただきたいと思います。

講座の質の高さと管理面の使いやすさでUdemy導入を決めた

田中:今回「オンライン学習受講促進事業」を検討する中で、色々なオンライン学習を検証しました。
それぞれ特徴がある中で、Udemyは実践的なコンテンツが揃っていてとても良いと感じました。

また、運営側の私たちが使う学習管理機能もついていて、事業スタート後の運用面でイメージがつきやすかったのも大事なポイントです。
コンテンツの質の高さと使いやすい管理機能、この2つがUdemyに魅力を感じた部分です。

岸本:コンテンツが非常に豊富なところがUdemyの魅力だと思います。
それぞれのジャンルごとに初級から上級までレベル別のコンテンツがあるのも良いですね。
学び始めの初心者から、高いスキルのある方まで幅広く対応可能という部分で、受講者のニーズにしっかり応える学びが提供できると感じました。

当初課題に感じていた、「私たちの部署だけでは広範なスキルまでカバーした研修が企画できないかもしれない」という点も、Udemyの利用によってクリアできました。
2021年に導入した頃より今はもっと講座数が増えていて、最新情報への対応とバリエーションの豊富さは他にないメリットです。

業務へ前向きな姿勢を示す社員が増えた!Udemy導入企業で見られた変化

岸本:「オンライン学習受講促進事業」を活用する企業では、「社員が仕事に対して前向きな姿勢を見せるようになった」という声が多く聞かれます。

例えば、今までとは違う仕事に自ら挑戦することや、様々な場面で社員同士、そして経営者も含めたディスカッションをする機会が増えたそうです。
そこから新しい業務や会社としての施策に移行した事例もありました。

DXを目指して、実際の業務にUdemyでのデジタルの学びを取り入れている企業もあり、徐々に事業の成果が表れていると感じています。

田中:事業の募集を開始した2021年当初は、「オンライン学習ってなに?」という声がほとんどでした。
Udemyというサービス自体も地方では知名度が低かったです。

その状態から普及させるため、個別に企業を訪問して事業を紹介し、「いいね」と言ってくださる方に体験してもらうことからスタートしました。
現在は、当時に比べてオンライン学習が県内企業にもかなり定着したと感じます。

事業を利用いただいた企業が、独自でUdemy講座を購入したということもありました。
行政の支援から一歩進んだ形でUdemy活用を進める企業も増えつつあります。

オンライン学習を導入した企業で広がる、主体的な学びの風土

田中:2021年度のスタートから現在まで、のべ約50社の企業にご利用いただきました。
その中でも多くいただく声は、やはり「時間と場所にとらわれずに学べて、従来型の研修のように移動コストがかからないのが良い」というものです。

またコンテンツも個人に合ったものを自由に選べる部分が大変好評です。
学びながら次に興味がある分野を見つけて、新たな学びにつながっているのは、私たちとしても大変嬉しい感想ですね。
オンライン学習を通して、企業の自主的な学びの風土づくりや、個人の主体性が伸びていると感じます。

集合研修だと疑問点について質問しづらかったり、理解できていないのに次に進んでしまったりすることがあります。
一方でオンライン学習は自分のペースで学べることから、学習効果としてはオンラインの方が高いと考える方も多くいらっしゃいました。

個人の就職支援においてもUdemyを活用

岸本:企業で働く社員に向けたリスキリングに加え、就職を目指して新たなスキルを身につけたい方に対しても、Udemyで学ぶ機会を提供しています。
「やりたい仕事があるけどスキルが足りない」という方を対象に、ハローワークなどを通じてUdemyを紹介しています。

一般的なビジネススキルはもちろん、OAスキル、デザインスキル、高度なプログラミングスキルなどを習得した結果、希望の職種への就職が可能になった方も複数いらっしゃいました。

田中:鳥取県の就職支援では、ハローワークに加え、地域単位で求職者をフォローするサポート事業者と連携し、Udemyでのスキルアップと就職サポートの2つの支援を行う仕組みを構築しています。
現在の自分のスキルと、希望する仕事に必要なスキルとを比較して、キャリアコンサルタントの助言をもとにUdemy講座を選べる形です。

オンライン学習なら、育児や介護などで集合研修に出られない方、従来型の職業訓練に参加できない方にも学んでもらいやすいというメリットがあります。
今後もなかなか外に学びに行けない方へ学習の機会を提供する選択肢として、Udemyをおすすめできればと思います。

今後の鳥取県のDX化とリスキリングに向けたビジョン

田中:近年の社会では「DX」と「リスキリング」が注目を集めていますが、どちらにしてもデジタルは非常に重要で、デジタルスキルを身につけることが地域の企業の成長に直結すると思います。

一方で、オンライン学習の難しさとして「環境を提供するだけで終わってしまう」という課題が挙げられます。
自律的に学ぶ人が育つ側面と、脱落する人も一定数出てしまう側面をあわせ持つのがオンライン学習だからです。

そんな課題への一つのアプローチとして、来年度以降はオンラインとリアルタイムの研修機会を組み合わせ、学習の継続をめざすことにチャレンジしたいと思います。
個人の自主性だけに頼るのではなく、オンラインとリアルを行き来する機会を提供して、学びをより深めることにつなげたいですね。
多くの企業がオンライン学習による成果を実感できるよう、これからも丁寧にサポートしていきたいと思います。
 
岸本:DXや社会のデジタル化は急速なスピードで進んでいます。
その中で最も重要なのは、経営者や管理職層が人材育成方針をしっかり定め、そこに投資するマインドを持つことです。

来年度以降は経営者の皆さんに「リスキリングは単なる勉強ではなく、会社の未来のための投資である」ということを伝えていきたいと考えます。
Udemyの学びは社員の主体性を育成でき、スキルアップも図れることをご紹介しながら、経営者の意識変容と自ら学ぶ人材育成に向けた働きかけを続けていきます。

鳥取県は日本で一番人口が少なく、その人口も年々減少しています。
それでも今回の事業で徐々にデジタルスキルの習得や新しいビジネスへの挑戦など、良い変化が現れてきました。

今回の事業を通して「鳥取県でできるなら、うちにもできるんじゃないか」と思ってもらえるような、日本全体にとって微力ながら良い影響が与えられたら嬉しいですね。
ぜひ関心を持っていただいて、全国で鳥取県のような取り組みが進んでくださるといいなと思います。