へそミヤマ
えー、次にですね、上質なへその魅せ方について説明します。
まず始めに、最初から裸でへそが見えてしまっている。これはNGです。へそが見えている状態からへそを強調してもズレが生じません。ですので、へそを見せる際はへそを隠しておくことはもちろん、できるだけ肌が露出しないような衣服を着用しましょう。
次にですね、登場してからすぐにへそを見せてはいけません。すぐに見せてしまうとズレが小さくなってしまいますので、とにかく溜めれるだけ溜めましょう。しかし、溜めると言っても終始棒立ちだと観衆も味気ないので、このようにですね、少し後ろへ下がり勢いをつけて前に駆け寄るような動きを繰り返すことで、観衆を退屈させずしっかりと溜めることができると思います。
これらができると後はへそを見せるだけなのですが、ここで、界隈の方々から高い評価を得るために重要なポイントをいくつか紹介させて頂きます。
まず一つ、服の裾はネッチョリめくりましょう。そして、めくる指は親指と薬指です。他の指はしっかりと立てておいた方が見栄えは良いと思われます。
二つ、覚えている限りトライしたことのない表情で挑みましょう。ですので、鏡で表情を確認するなど事前に顔面を調整することはもってのほか、人外の外行だとも言われています。
三つ、本当にへそを見せる直前のステップは、ものすごく細かいものにしましょう。もし何かを参考にするならばアリシャッフルです。モハメド・アリは時折お手本のようなステップを踏みます。このステップを実践するか否かで界隈の方々からの評価が大きく変動すると言われています。
四つ、へそを見せる際のSEとしてなにか音を準備しておきましょう。
「へそミヤマ」
今回はこちらの音を使用させて頂きますが、特に意味はなく、理論上ある程度どんな音でも良いとされています。ただし、単車のコール音だけはあまりにベター過ぎるので、もし使用せざるを得ない時が来た場合、金輪際他人にへそを見せてあげることはできないと、そう思ってください。
五つ、油性ペンでへそに大きくなにか描いておきましょう。私は今日はミヤマクワガタを描いてありますが、これは偶然の巡り合わせであって、決して「へそミヤマ」という音と合わせたわけではありません。これは単なる巡り合わせです。皆既日食のようなものであり、オーラス親番十三不塔のようなものでもあり、墨汁を買って帰ったら家に半紙と硯と墨と筆と文鎮とフェルト下敷きがあったようなものであります。ですのでどうか心配なさらないでく、、、、、、
慌てないで。ふためかないで。巡り合わせ、これは巡り合わせです。
一旦深呼吸しましょう。ゆーっくり息を吸って、
「へそミヤマ」
ゆーっくり息を吐く。何度か繰り返しましょう。ゆーっくり吸って、
「へそミヤマ」
ゆーっくり吐く。いいですよ。もう一度いきますよ。ゆーっくり吸って、
「ブェーン、ブェーーン、ブェンブェーンブェーー、ブェーブェブェブェーブェブェブェーブェブェブェーブェブェブェブェーブェブェブェーブェブェブェーブェブェブェーブェブェーーーー、ブェッブェーー、ブェンブェンブェンブェンブェブェンブェンブェンーブェペッペブェブェーブェペッペブェブェーブェペッペブェブェブェペッペブェブェブェペッペブェブェブェーーーーーー、ブェドゥドゥドゥブェドゥドゥドゥブェドゥドゥドゥブェドゥドゥドゥブェーーン、ブェーーン、ブェーン、シュチチチチ、シュチチチチチチチ、ブュエーーーン。」
ゆーっくり吐く。
邪考を無事に鎮め、準備ができたようですね。
では、実際にやってみましょう。