Liris
そう、行く準備はとうに出来ていたのだ。初めて降り立った台湾は夢中になる要素がたくさんだった。まずは台北の街を皮切りに、ゆるゆると環島を目指す旅。
空港の、その先 空港だけは数え切れないほど訪れているのに、そこがどういう場所なのか知らない。国内線乗務のみだとしても客室乗務員にとってそれは充分あり得る。 地方空港の次の便に備えるわずか35分の間、視覚を占めるのは駐機場と滑走路の地面の明るいグレー。気持ちに余裕があれば周囲の風景も目に飛び込んでくるけれど、どこか現実味を欠く。 乗務回数としてはかなりの数に上りながら、どんな土地なのか知らない。東京からの直行便、鹿児島からの徳之島便と絡めた2往復で頻繁に赴いた奄美大島がまさ
同一規格で比する悦び 東南アジアの渡航先で、STARBUCKS COFFEE(以後、スタバ表記)を目にするようになって久しい。現地の景観に馴染ませようというお店造りが、西洋の視点からのアジアという意訳になっている設定も興味深い。 好奇心に任せ水分補給も兼ねて入った店内では、いつしか『A DESTINATION GIFT FIT FOR COFFEE LOVERS』というご当地グッズを展開している棚に目が向くようになった。 まずはタンブラーから始まった“海外スタバ”収集
穏やかなグレーにセンシュアルな青鈍色を溶かしたDullトーン、それが私の台北。 まさにその色でそぞろ歩く街。 蛋堡(ダンバオ)Soft Lipaの歌声も街並みに合わせるようにスモーキーで心地よく、ヒップホップのスタイルながらジャジーなエッセンスが加味されている。 …そしてお洒落なだけじゃない、雰囲気だけに堕してないストーリー展開もグッとくる。 離れた地で台北を思い、焦がれるのにピッタリの曲。 #旅行 #海外旅行 #台湾旅行 #台北 #台湾音楽 #旅エッセイ #旅の記録
その地が育む色を、愛でる 南北に長い形状から日本というひとつの国の中だけでも、例えば神社仏閣のような場所で使われている赤の色に違いが生じている。 かと思えば同じものを見ているのに太陽を赤く描くことは、世界的な観点から日本は圧倒的少数派であったりもする。1993年の呉念眞の映画『多桑』の中では、幼い娘が青天白日旗の絵を描いていると、日本統治の時代に生を受けた父は「太陽が白いわけがない、赤に決まっている」と叱責する。それに対して娘が「父さんは漢奸なの?」と詰る描写には万感迫る
香りは旅の記憶に深く結ばれる。 バリ島ならスダップマラムに、フランジパニ。バンコクで挙げるのであればレモングラスと、そして、ジャスミン。 「臭豆腐、かなりヤバいよ」という知人の言葉を頭の片隅に赴いた初めての台湾、寧夏路夜市でああこれかと認識したけれど頻繁なアジア行きを繰り返している身としてはさほど悪臭にも感じず、実際に記憶に残ったのは茶商で振舞われた焙煎を強めに効かせた高山茶の香りだった。 9月という時期の台湾でなぜか旅程に花との邂逅がなく残念に思う気持ちがあったけれ
そう、行く準備はとうに出来ていたのだ。 いつかはという欲求の背中を娘にドンと押され、漫然と貯めていた資料を家捜しし、更に渡航前に新規で取り揃えた関連資料各種。 王道の情報誌は土地勘が無いと目が滑るので基本的に排除、Key Bookとなったのはなんと言っても 内田真美さんの「私的 台湾食記帖」。 森羅万象に鼻の効く敬愛する友人が書店でひょいっと手渡してくれたもので、誘導灯として渡航プラン作成時大いにお役立ち。 何時も旅路は食への興味で拓かれる。 旅は気になったス