大阪市をウォッチしよう!! 06 「愛知万博と大阪・関西万博とBIE」
国際博覧会(万国博覧会)は、パリに本部があるBIE(博覧会国際事務局)が取り仕切る国家イベントである。日本では、高度成長期の1970年大阪万博、2005年の愛知万博(愛地球博)に続き、2025年に大阪・関西万博が夢洲を会場に予定されている。
名古屋に住んでいた頃、愛知万博誘致から開催後まで、市民団体とともに万博を追いかけてきた。
写真は中日新聞2000年1月14日朝刊1面。この新聞を大切に保存していたが、引っ越し「騒動」により紛失してしまった。それで縮刷版により、記事をコピーした。
2005年の愛知万博開催に激変をもたらした、地元の中日新聞スクープ記事である。BIE議長が、愛知万博に「跡地利用は自然破壊」だと、強い警告を投げかけた。この記事のあと、愛知万博は当初の瀬戸市の「海上の森」から会場変更を迫られた。
大阪・関西万博も、2025年開催予定の8カ月余りの段階で延期も叫ばれる事態だ。昨年5月、大阪の夢洲懇談会がBIEに手紙を送った。何回も手紙を送ってきたが、開催まで3年弱に迫った万博の課題について、あらためてBIEに直接訴えるためだ。
私が書いた手紙の草稿には、次の5点を指摘した。招致活動が遅れて海外パビリオンなどの建設計画が確定していないこと。会場の大阪湾の人工島である夢洲の汚染や液状化による安心・安全な万博への懸念。「大屋根」(リング)建設などによる会場建設費の高騰とアクセス整備。生物多様性が豊かな夢洲の自然破壊。万博会場の隣にIRカジノが誘致され、万博跡地も「エンタメ拠点」にしようとしていること。
それから1年余りが経過したが、読売新聞が今月21~23日に実施した世論調査では、大阪・関西万博に「全く関心ない」が29%、「あまりない」が36%だった。万博開催が迫っているのに、日本国民の大半が万博に関心を示していない。それだけでなく、海外パビリオン建設の申請ゼロが続き(やっと1件目の申請があったようだが)、万博開催までに間に合うかが大きな話題になっている。万博協会は海外パビリオン建設を「代行」する意向を示し、時間外労働の上限規制の対象外にするよう政府に求めた。後者は「働き方改革」に逆行するものであり、SDGSをスローガンに掲げる大阪・関西万博の理念にも反するものであり、万博協会に批判が集まっている。万博の会場建設費は当初想定の約1.5倍の1850億円に増額されたが、さらに増額が検討されている。
このままでは、万国博覧会の長い歴史に汚点を残すことになりかねない。万博を取り仕切るBIEの率直な考えを聴きたいものだ。
番組中の国際博覧会の言及について
番組中、国際博覧会のはじまりがパリ万博であるとの発言をしていますが、第1回国際博覧会は、1851年のロンドンで開催された博覧会です。それ以前は、フランスで行われていた国内博覧会がそのルーツとなっており、1798年にパリで初めて行われた。国際博覧会を提唱したのがフランスであり、国際博覧会協会(BIE)の事務局もパリに設置されている。