ひとりと一頭で生きていく。
冬の朝焼けの富士山を横目に、私は東海道新幹線に揺られていた。名古屋で乗り換え、最終目的地は岐阜県のとある山の中。私はラブラドール・レトリバーの子犬を見に行った。
そばにはいつも、犬がいた。①白い気品あふれる紀州犬/〜昭和62年
人生の最初の犬は「紀州犬」。名前は「チロ」という。しっぽがくるんとまるまり、真っ白く品のある毛並みをしていた。家族はみな、「穏やかでやさしい性格だった」という。私の記憶のチロは、子どもに一切興味がなく、淡々とそこにいる静かで孤高の存在。私に吠えるこ