#6 乳糖と栄養と乳房炎
乳糖について考えてみます。
乳糖は当然ブドウ糖から作られます。
教科書ではプロピオン酸から肝臓にて糖新生され作られると書かれていますが、一部は酢酸からも作られます。
NFC(でんぷん)だけでなく、NDF(センイ)からも作られると理解していますがどうでしょう?
どちらにせよ、摂取した炭水化物から作られるのは事実でしょうから、間違ってはいないでしょう。
乳糖は血糖値と同じく乳成分で最も変化がない成分でほぼ4.5%(灰分を含む場合は5.5%前後)前後で、乳量を左右する最も重要な成分です。
従って、乳糖率をアップさせたい場合、乳腺組織に届くブドウ糖を増やせば良い訳ですが、生体には一定の乳糖率を保つ仕組みがあるので、乳糖率を上げるのは至難の業です。(乳量は上がる可能性が高いです。)
それでも乳腺細胞にブドウ糖を届ける方法を考えると…
脂肪細胞から作られるレジスチンが乳腺細胞にブドウ糖を集めるように(筋肉でのブドウ糖の消費を抑え、脂肪細胞で蓄えないように)働いているようです。
したがって、レジスチンを出させるために太らせればよい?
そしたら、今度は病気になってしまうでしょう…
私が今までの牛群観察で感じることは、4.6%程度の乳糖率をキープしている牧場は
・ボディコンディションスコアが良好なこと
・カウコンフォートが良い事
・NFC(でんぷん)とNDF(センイ)のバランスが適切であること
3点が重要と感じます。
ただし、重要なのは乳糖率よりも乳糖量と思います。
いづれにしてもカギとなるのは主食である牧草。更にその品質が大切です。
ちなみに、乳糖率が低下する時は乳房炎の時です。
乳腺細胞の炎症によってブドウ糖から乳糖の合成が上手くいかないことが原因。
牛の健康と笑顔溢れる牧場を共に…