エコプロ2023レポート
12月6日~8日、持続可能性に向けて取り組む企業・学校・団体が一堂に会する展示会エコプロ2023に初出展してきました。
島の環境文化を五感で体感!
私たちが紹介したのは、南西諸島に根付く『環境文化』。
人が暮らしの中で自然に手を加えることが自然の手入れになり人と自然の持続的な関りを可能にするという生活文化です。
ご紹介したのは南西諸島の中でも屋久島、奄美大島、徳之島、沖永良部島の4島。屋久島、奄美大島、徳之島からは、なんと島の方もブースでのご案内に駆けつけて下さいました。
展示会の趣旨からして、紙のパンフレットやハンドアウトをたくさん作って配るのは違うと考えていたので、なるべく島の自然物や特産品を集めて、五感で感じ取ってもらえるような展示を心がけました。
2023年に世界遺産登録30周年を迎えた屋久島。
その屋久島についてご紹介していたのは「山に十日、海に十日、里に十日」という言葉。どれかに偏って恵みを取り尽くすのではなく、バランスよくいただきながら暮らそうという姿勢を表しています。
奄美大島については人と人・人と自然の掛け合いをテーマに、大島紬の生地やその製作に欠かせない行程である泥染めに使う泥、サトウキビ・ソテツの実を展示・紹介しました。
沖永良部島は「島ひとつ分の暮らし」として、循環型の畜産に取り組む要ファームさんの経産牛の肉そぼろ、その飼育に使用している島内の未利用資源を活かした飼料(なんと実物!)、収穫後の苗床が飼料の原料になっている特産品のキクラゲをご紹介。
徳之島は「集落のなくさみ文化」(集落にあるものを十分活かし、自分たちで楽しみを見出そうとする姿勢)を体現するものとして、牛の角(農耕牛から闘牛文化が始まりました)を展示したほか、現場でふり茶(玄米茶を泡立てて振る舞う飲み方)を実演していただきました。
その他にも徳之島からは、島内で育てられちょうど収穫期を迎えたコーヒーの果実、天然記念物であるアマミノクロウサギのフンをご持参いただき、これまたたくさんの方が足を止めるきっかけを作ってもらいました。
暮らしに密着した展示・紹介が多かったので、実際島に住まわれている方から来場された方に直接お話しいただけると説明内容に臨場感も出て、よりリアルに島の生活文化を感じていただけたのではないかと思います。
はるばるご参加いただき、本当にありがたかったです。
試飲・試食も好評でした~
五感で体験していただくということで欠かせないのが味覚。
ブースでは徳之島のふり茶実演していただいたほか、屋久島の有機栽培の緑茶をお振る舞いしました。
屋久島からはトビウオからつくったあごだしで味付けしたおかきをご提供。(実は屋久島の安房港は、港として日本一のトビウオ水揚げ高を誇るのです)
屋久島の「海に十日」の海の幸を味わっていただきました。
また奄美群島の特産、黒糖は奄美大島・徳之島・沖永良部島それぞれのものをご用意。
数が限られるのでごく僅かな方のみでしたが、食べ比べにもチャレンジしていただき、味の違いも感じていただきました。
ブースに立ち寄って下さった方々にお薦めすると、珍しがりながら試し「美味しい!」と楽しんでいかれました。
物産展などでもない限り味わえない島のモノを少しはご紹介する機会になったかな、と思います。
今年の展示の振り返り&イチ推し
エコプロには前回、前々回は来場者として見学し、出展した今回が3回目でした。
立場も変わった3回目の経験で感じたのは、
思っていたより子どもの来場が多い!
次に来る新技術より現在の実装に直結するプロダクトやサービス
という2点でした。
子どもたちは総合学習の時間などを使って来場しているそうです。特にオープン直後からお昼過ぎにかけて来場している学校が多いように見受けられました。
午前中は「あれ、環境学習のイベントに出展したんだっけ?」と錯覚しそうになるくらい、そこら中子どもたちで溢れていました。
出展者同士のブースを行き来するのは、子どもたちの来場が一段落した15時以降がしやすかった印象です。
それにしても手にボードや記入用のノートを携えてブースを回る姿は微笑ましかったです。
自分たちが子どもの頃には展示会のような場所に見学に行くことはおよそ考えられなかったので、時代の変化を感じます。
これからはこういう情報接触を経験した子どもたちが世に出ていくんですね~。
次の新しさより足もとの取り組み
会場で今年の出展内容全般を見渡してみて感じたのは、
今取り組んでいること・今の取り組みに資するプロダクト/サービスが多く、次に来る新しい技術はあまり目立たないなぁ
ということでした。
ブースとして目立っていたのは、ブルーカーボンなどすでに進んでいる取り組みか、CO2排出量の算出や情報開示対応など今すべき取り組みをしやすくサポートするプロダクト/サービスである一方、新素材の開発・提案など「これは産業のゲームチェンジにつながりそうな新しい技術だ」という内容は存在感が薄かったように思います。
その印象を受ける理由を考えていて思い当たったのは2つです。
ひとつめは、サステナブルについての取り組みのフェーズの変化。
実験的でも新規性の高い技術を生んでいればいい段階が一段落して、実装をどんどん進めていくフェーズに変わってきたのかもしれない、というもの。
脱炭素の分野だけを見ていても、やるべきことと実現のための策は揃ってきたので、あとは実直に実施していくだけという段に至ったということはありそうです。
もちろんまだ足りない技術もあると思いますが、現実に効果を生むためには広く実装が進むことが不可欠なので、もしこの変化が当たっているのであれば喜ばしいことだな、と思います。
もうひとつの理由は、先に触れたことと関係がありますが、エコプロ自体の性格が変わってきているのかもしれない、ということです。
ビジネスマッチングの場というよりも、子どもも含めた自社取り組みのPR・教育の機会として使われている可能性があるのかも…
新規性の高い技術を携えビジネス機会を獲りに行きたいベンチャーなどは、よりビジネス色の強いピッチイベント・マッチングの機会にシフトしているのかなと想像しました。
あくまで個人的な印象と推測に過ぎないので、その帰趨がどうなるかは後に改めて振り返って確認してみたいと思います。
イチオシは琉球大学
さて、そんな中イチオシの展示だったのは、琉球大学のブースでした。
学生委員会によるゴミ削減の取り組みや、畜産のゼロエネルギー化、海藻類の高速培養なども紹介されていましたが、特に目を引いたのが科学技術振興機構の採択を受けた持続可能な食生産システムの実装プログラム。
そのうち「フード・トランスフォーメーションが結ぶ環境・観光アイランド実現拠点」は、観光や生活といった食品消費の場面と農業・畜産を連携させ、循環型の食システムを形成することを核に、持続可能な環境・観光の島を創ろうというもの。
すそ野が広い観光セクターは単独で”持続可能”であることは難しく、主に地元の一次産業との連携を強めない限り達成できないのではと感じていたところ、まさにそれを実践していこうという取り組みが島で起きてくることを知ってとてもワクワクしました。
本格的な実装はこれからということなので、今後の推移を見守っていきたいと思います。
Special Thanks!
ということで、初めて参加した3日間の展示会、無事終了しました。
ブースに足を運んでくださり、話に耳を傾けて下さった皆さま、ありがとうございました。
何より企画の段階から相談に乗って下さり、展示物の用意にご協力いただき、当日のご案内までご一緒下さった島々の皆さま、東京での協力者の方なくしては、今回の出展は実現できませんでした。
突拍子もない思いつきにお付き合い下さいましたこと、心よりお礼申し上げます!
今回の展示でご紹介した「環境文化」は、自然の守り手が全国的に不足していく中でとても大切なと考え方・姿勢だと思いますので、これからも何らかの形で広めることに貢献していきたいと思います。
出展・展示でお世話になった皆さま
【番外編】ランチはeat forさんで
東京ビッグサイトに3日間続けて通うことは初めてなので、ランチどうしようかなぁと思案していたところ、エコルとごしに出店されている eat for さんがフードコーナーに出ていらっしゃることが判明!
あまり長時間はブース離れられないし、ビッグサイト内のレストランは混むし、という中いいチョイスがすぐ近くにあってすごくありがたかったです。
島の方々とも一緒にいただき、気づけば結局3日間ともお世話になりました!
ごちそうさまでした~