Tシャツと週刊誌が笑う
妻が3日間の出張に行った。
私はここぞとばかりに時間をかけて、車を綺麗にした。
服が少々、ひどく、汚れてしまった。砂漠や泥沼を走ったわけではないのに、車の身体はどうしてこうも汚れを纏うのだろう。
洗濯をしておこうと思った。近くのコインランドリーを調べた。実はコインランドリーが好きなのだ。
洗濯機が家にないわけではない。先日少しグレードの高いものを新調していた。あからさまに汚れがこびりついた洗濯物を投げ込む男気は、その時はまだなかった。合わせて、どうせならと溜まっていた洗濯物も一緒にカゴに放り込み、コインランドリーへ向かった。
最近は何か店が潰れるとすぐコインランドリーができるよなぁとか、ただお洒落なコインランドリーより札付きの犯罪者の写真が貼ってあったり、袋とじが破れている週刊誌が転がっているようなコインランドリーが僕は好きだなぁ。とか考えていたら洗濯は終わった。
妻の下着やTシャツもあったから、2回に分けて回した。
乾燥機を回し、そのままカゴに放り込み家に帰って、僕はツアーに出た。
ツアー初日、忘れもしない、埼玉熊谷モルタルレコードでのライブの日だ。
妻が帰ってきている頃だ。というのは頭のどこかにあった。
今日も気持ちを込めて歌おうと、出番の10分前、妻からのLINE。
「私のものじゃない下着があるんだけど。」
???
「洗濯物の中に私の知らない下着があるんだけど。」
理解するのに30秒、ん…ということはコインランドリーで僕より前に使った人の忘れ物とかそうゆう感じの•••・・・なんてすぐに妻は言じることはなく、しかも3日間の出張中というこの犯行に及ぶには絶妙なタイミングということで、まあ激・怒。
「お前、やってんな。」という、恐ろしい台詞がホーム画面に見え、開く勇気を持てないまま、私は40分のステージに向かうのであった。
あの日から、コインランドリーには行っていない。