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放浪No.16 都会は目の前

翌朝、いつものようにルートの確認をする。
放浪No.07 本来の道へ に書いた転機の時、絶対にここまでは行こう!と決めていた目的地があったのだ。
前日に約90キロを走ったのもあって、今日のルートは約50キロと今までの走行距離を考えると楽勝モード。

ゆったり過ごしたあと、荷物をまとめて出発する。
道中であっちこっちへ寄り道をしながら、第一の目的地へと自転車をこぎ進めていく。
街の象徴なんかを眺めながら、飛び出してから走り続けた日々を思い返し「自転車でここまで来たんだな」って自然と呟いていた。
やがて繁華街やオフィス街と、目まぐるしく変化していく都会の街並みを自転車で抜けていく。

ある程度の距離を走ったところで知っている景色、知っている道に出てきたので、マップに頼る必要がなくなった。
この道を突っ切って公園へ向かうだけだ!と気分を高揚させていた。

そしてついに、第一の目的地と決めた公園に着くことができた。

俺は、かつてホームレスの方々にお世話になったことがある。
お世話になったといっても、お互い自分のお金で買ったビールを飲みながら話した仲である。
2度目に会った時も覚えていてくれて、その時もビールで乾杯してぐだぐだと語り明かし、別れ際に「またな!」と声をかけてくれた。
これで3度目になるのか、元気にしてるかな。とニヤつきそうな顔を必死に堪えながら公園を見回したが、その人はいなかった。
どっか行ってんのかな?そのうち帰ってくるだろう、と缶ビールを2本並べて帰ってくるのを今か今かと待ちわびていた。

缶ビールが水滴だらけでぬるくなってしまうほどの時間を公園で過ごすが、戻ってこない。
今日は諦めて明日来よう、とぬるくなった缶ビールをリュックにねじ込んでインターネットカフェへと向かう。


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