竹を調える
荒れた竹林は全国どこでも問題になっています。昔は生活の一部に竹があり、常に人の手が加えられていて調っていましたが、生活様式は変わり今はそうではなくなりました。竹林の所有者の高齢化で、手をかけるのが難しくなっていることもあるでしょう。荒れた竹林は景観として悪いだけでなく、土砂崩れの危険もあるので、多くの場所で厄介者とされています。
ですが、本来、竹はいろんな道具になったり、美しいもの。竹を邪魔者ではなく活かすための、竹を調えるワークショップに参加してきました。
主催は、匝瑳と東京の2拠点移住で築100年以上の古民家を少しずつ修復している今福さん、竹がとにかく大好き小西さん、ダウンシフトを提唱している髙坂勝さん、そして竹の調え方だけではなくパーマカルチャーなど総合的な知識をお持ちの鈴木張司さんの4名で、今福さんのお宅の荒れた竹林を舞台に開催されました。
竹を間伐していく前に、昔の人がどう水脈を観てどこにどういう木を植えて活かしていたかなど、敷地内を観察していきます。氏神様の位置や土葬のお墓があったであろう場所を見つけたり、水脈や循環の流れを知っていくたびに昔の人の知恵に感心せずにはいられませんでした。
竹を切っていくのですが、むやみやたらに切るのではなく、水の流れを観察し、滞って淀んでいた水脈をどう通していくのかをイメージしながら切っていきます。
真っ直ぐな道ではなく、少し蛇行させるようにしながら東西南北にクロスさせて風の通り道をつくると、薄暗かったところに空気と光が差し込み、みるみる雰囲気が変わっていくのを肌で感じました。
作業を終えた時に風が吹くと、竹がゆったりと揺れながら笹の葉がさらさらとやさしい音を聞かせてくれて、目と耳と肌で心地の良さを感じました。ここに住む今福さんはもちろん、ここを訪れる人や近所の方はここを通るたびに、心が洗われるのだろうなと嬉しくなりました。
そして2日目は、竹炭づくりと食べられる森づくり。
個人的にまさに今、竹炭が大量に必要だったので、竹炭づくりはとても嬉しかったです。熱いし、火の管理が必要ですが、2〜3時間で案外簡単につくれました!
その後、表面を炭化させた木や竹で階段をつくりました。平行ではなく、少しジグザグにして、水もジグザグに流れるように。階段には枝や枯れ草などの有機物を絡ませることで、菌糸が伸びて壊れにくいものになるそうです。
木を植え、その周りにハーブの種を撒きました。この日で完成ではなく、時と共にやがて食べられる森に育っていく。最初の労力は大きいけど、あとは楽に食べるものが得られるようになります。
休憩の時に、環境問題に興味を持ち、「HAPPY EARTH」を立ち上げた11歳のアリナちゃんが紙芝居を披露してくれました。
内容が素晴らしかったのはもちろんなのですが、アリナちゃんの話しぶりや佇まいが素敵で、感動しました。僕の興味のあったことについて詳しかったので相談したら、物凄い熱意を持って答えてくれ、ちょうど迷っていた時に出会えたのは巡り合わせとしか思えませんでした。ワークショップも凄く学びがあって楽しかったのに、他にもとても嬉しいご縁があり、素晴らし過ぎる2日間でした。
竹を調え、場を調え、植物や人間の住みやすい環境をつくることは、一つ一つは小さいけれど、地球を再生させていく行為のように思えました。地球は壊れている。でも絶望はしていない。
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