売れないパッケージはどうして売れるパッケージになったのか?
野菜などの青果商材はデザイン的に大変制約が多く新機軸を打ち出しにくいと感じます。理由は主に以下の点です
野菜が見えてないと売れない
単価が安いので版代が厳しく色数を使えない
表記に関するガイドラインにより必ず記載しないといけない事項が多い
これはそんな制約の中で野菜の袋のデザインとしてギリギリセーフな部分を模索し、野菜袋で従来にはない価値観を提案するための試行錯誤の結果を記載します。
青果販売で店舗との直販を目指し、自身の商品を作ろうとしている方の助けやお客様が野菜の何を見ているのかの気付きになれば幸いです。
失敗例から考える
こちらが最初に作成した自分が言いたいことを全部のせてデザインしてもらったものです。結論から言いますと全く売れない袋でした。
今回の話はうちに来ている研修生さんへのお題として売れない理由を考えるところから始まります。
デザインが目指す場所
まずなによりこの袋は何を目指すのか?これが分からないとデザインが目標を達成してるかを測る意味がないので、まずは目標を確認します。
子供が夢中になって食べることをコンセプトにしていることが伝わる
青果の袋にフルカラーのフルコストで挑む
世界で一番かわいいパッケージを作る
子供が夢中になって食べることをコンセプトにしていることが伝わる
これはブランド戦略上絶対に入れなければいけない要素です。詳細はこちらの記事にありますが野菜商品として大事にしたい部分なので、これを視覚イメージとして簡単に具現化するのは至上命題です。
青果の袋にフルカラーのフルコストで挑む
通常野菜は単価が安いです。スーパーでも100円、200円の世界ですしどんなに高いお店でも大根1本が500円みたいな世界ではありません(異常相場の時は別として) そのためどこの産地もせいぜい袋は下地の白とプラス1色の2色刷り、ちょっと頑張って3色刷りぐらいが良いところかなと思います。
逆にいうとみんながみんなそういう色の使い方をしてくるのであれば、フルコストのフルカラー印刷にしたら間違いなく日本一が狙えるわけです。
野菜売り場に新規が割り込んでいくには、なにか一点尖った部分が必要ですが、通常は味とか珍しい品種とかに行くかなと思います。
しかし味での差別化というのはかなり難しいですし、珍しい品種は中々売れないという事情があります。
そこでそういった方向性ではなく、袋で圧倒的なクオリティ差をつけるというのが当初からの方針でした。
世界で一番かわいいパッケージを作る
フルカラーで作る以上、ただ野菜が描いてあるとかでは全く意味がありません。何をもって売りとするのか?という部分での目標付けとして世界で一番かわいい野菜のパッケージにするというのを目標としました。
何が失敗したのか?
さて、それではこの全部詰め込むだけ詰め込んでみた物の、当初から見えにくいのではないか?という懸念はありました。
情報量が多いので表面は上下の帯で視線を遮ることで中央部をより意識付けできるようにし、窓から商品を覗いているような感じにした
裏面はほとんど確認することはないだろうから、ほぼ情報で満たした
国の定める特別栽培のガイドラインに準拠すると記載事項が多くなってしまうが情報的に削減が難しいのでフルに記載した
製作してからまずは店舗やバイヤーに見せると非常に良い反応!すごい!かわいい!
これはいける!と、とりあえず販売してみると売れない。実際に店舗やお客様に聞いてみると様々なことが見えてきました。
お客様は裏も表も確認する 加工品パッケージと違い全方位で見えないと手に取らない。これは予想以上に気持ちとして強く、見る面積が広くないとだめ
店舗が品質管理で見たいポイントがある
文字を読む人、栽培の細かいことを知りたい人は少ない
特栽表示は販売店から不評 特栽が求められるところは店舗で栽培履歴を元に記載するし、特栽が求められないところはお客様に聞かれた時に説明できる体制ではないのでいらない
リデザイン
さて、じゃあ売れないからこの路線をやめるのか?やめたら残る道は弱小産地島根で市場になんの影響力も無い売り方しかできません。
少なくとも最初の反応はよかった、またほとんどの店舗が見たことない取り組みと言ってくれたので商品力としてのパンチはあるはず…
意見を元にデザインを修正していこう!とリデザインが始まりました。
対処1 後ろをむしろなにもなくした 詳細情報はQRコードでサイトに飛ばした
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